肛門掻痒症

こうもんそうようしょう

最終編集日:2023/10/13

概要

肛門周辺にかゆみ(掻痒感)が現れる状態です。原因が特定されないものと、ほかの病気が原因で起こる二次性のものがあります。日本大腸肛門病学会では「原因となる発疹や疾患がなく、掻痒感があるもの。掻爬(かきむしること)によって二次的な発疹をみるもの」と定義しています。

発症には肛門周辺の衛生状態が大きく関与しています。世代や性別を問わず、だれにでも起こりうるといえるでしょう。

原因

ほかの疾患が原因でない場合は、便秘や下痢などの便通異常によって肛門周辺の皮膚が刺激を受けることや汚物の拭きとりが不十分なこと、洗浄便座の不適切な使用、洗いすぎ・こすりすぎ、生理用品の不適切な使用によるかぶれなど、衛生状態がかかわっています。

二次性の肛門掻痒症の原因としては、痔核(いぼ痔)裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)などの痔疾患、アトピー性皮膚炎、寄生虫(蟯虫〈ぎょうちゅう〉症)、カンジダ感染症、皮膚真菌炎などが挙げられます。また糖尿病や肝機能障害、ビタミン欠乏症から肛門のかゆみがひきおこされることもあります。まれに皮膚がん(パジェット病など)や肛門がんの一症状として現れる場合もあります。

症状

肛門周辺のかゆみが起こります。かゆみは排便後、入浴時、就寝時に強くなり、かゆみで眠れないこともあります。かくことで痛みや、水・湯が染みるようになり、下着でこすれて痛みを感じることもあります。悪化すると、肛門周辺の皮膚が白くなる(色素脱失)、皮膚が切れて出血する、浸出液が出て下着を汚すなどが起こります。かゆみを放置してかく行為をつづけると、周辺の皮膚が硬くなったり、色素が沈着したりします。

検査・診断

問診ののち、視診で肛門周辺の様子を調べます。痔疾患の有無をみるために肛門鏡を用いることもあります。視診でおおよその診断はつけられますが、他疾患の存在が疑われる場合には、蟯虫検査、血液検査、カンジダ菌や真菌の検出検査などを行います。とくにがんや糖尿病などの全身疾患を見逃さないように診断がつけられます。

治療

原因疾患のあるものは、その治療を優先します。

かゆみに対して、抗ヒスタミン薬などの軟膏を用います。かゆみが強い場合はステロイド含有軟膏も使いますが、皮膚真菌炎が原因の場合は症状を悪化させるため禁忌となっています。また、下記のようなセルフケアも不可欠です。

セルフケア

療養中

市販の肛門用かゆみ止め軟膏などを用いてもよいですが、1週間程度使用してもかゆみが改善されない、強くなる、痛みなどを伴うようになった場合は使用を中止して、肛門科を受診しましょう。デリケートな部位であるため、受診をためらう場合も多くみられますが、女性医師が担当したり、女性だけの外来日が設置されたり、ほかの患者さんとできるだけ顔をあわさない動線になっているなど、受診しやすい環境を工夫しているクリニックもあります。

予防

日頃から次のようなことを実践して、肛門周辺のケアに努めましょう。


●便通習慣を整える

便秘や下痢は肛門に負担をかけます。食物繊維や、腸内環境を整える発酵食品などを積極的にとって、規則正しい便通習慣を目指しましょう。

●排便後のケアをしっかり行う

排便後に汚物をきちんと拭きとることも大切です。ただし強く拭きすぎると皮膚を傷つけてしまうため、注意します。洗浄便座は強すぎない・長すぎない使用にしましょう。清潔を気にするあまり、アルコール成分の含まれたウェットティッシュなどを用いるのはかゆみの原因になるため、やめましょう。

●肛門に刺激を与える食物を控える

アルコール、香辛料、コーヒーなどは、かゆみをひきおこしやすいため、控えめにします。

●入浴時に石けんを使いすぎない

石けんの使いすぎは皮膚の自浄作用を低下させ、かゆみが強くなる原因になります。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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