毛巣洞
もうそうどう

最終編集日:2025/2/18

概要

毛巣洞は、体毛が表皮ではなく、皮膚の内部に向かって伸びることで起こる病態です。肛門の少し上、仙骨という背骨のいちばん下の骨あたりに起こります。まれにわきに発生することもあります。体毛がかたまりになって巣のようになることから、毛巣洞と呼ばれ、「毛巣瘻(もうそうろう)」ということもあります。

体毛が濃い男性に好発しますが、女性にも起こります。


原因

体毛が逆方向に伸びる原因はまだわかっていません。

長時間運転する人(トラックやタクシードライバーなど)に多くみられることから、外部からの刺激の関与が考えられています。


症状

通常は無症状ですが、毛巣洞に感染が起こると、腫れてうみをもち、熱感や痛みを感じます。

仙骨の下のあたりに病変がみられたら、肛門科あるいは皮膚科、形成外科を受診しましょう。


検査・診断

問診と視診でおおよその見当がつけられます。病巣の広がりの精査や、ほかの皮膚感染症、痔瘻、腫瘍などとの鑑別のために、超音波検査やCT検査などを行うこともあります。

治療

感染が軽度な場合は、抗菌薬を内服して改善を図ります。

感染が重度で症状が強い場合や病巣が大きい場合は、切開して排膿し、痛みや熱感などの症状を軽減します。その後、炎症が落ち着いてから、病巣切除を行います。再発を防ぐために、また残った部分が再度化膿しないように、完全に切除することが重要です。

切除部分が大きくなると、縫合のみでの閉創(切開部を閉じる)がむずかしくなり、皮膚などを移植して再建する手術が必要になるケースもあります。


セルフケア

病後

毛巣洞を再発させないためには、生活習慣を見直すことも必要です。長時間座り続けない、腰部や臀部の清潔を保つなどを心がけましょう。

また、多毛のケースでは再発防止のために脱毛をすすめられることもあります。


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監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居 明