子宮肉腫
しきゅうにくしゅ

最終編集日:2023/8/22

概要

子宮肉腫は、おもに子宮体部に発生する、悪性度の高い腫瘍です。発症率は子宮体部にできる悪性腫瘍の4~9%で、それほど高くありません。子宮体がんと肉腫のどちらの性質ももつ「子宮がん肉腫」、平滑筋という筋肉の層にできる「子宮平滑筋肉腫」、子宮内膜間質細胞という細胞に由来する「子宮内膜間質肉腫」に、大きく分けられます。

好発年齢は、子宮がん肉腫が60歳以上、子宮平滑筋肉腫が50代前半、子宮内膜間質肉腫は閉経後とされています。

原因

なぜ子宮に肉腫が発生するのか、まだ明らかになっていません。骨盤への放射線治療歴や、乳がん治療でのタモキシフェンという抗ホルモン剤の服用との関連が考えられています。

症状

月経過多、月経周期の異常(月経が長いなど)、閉経後の出血、不正出血が起こります。おりものの増加、腹部膨満感、下腹部痛などを伴うこともあります。子宮肉腫に特異的な症状はなく、子宮筋腫などに似た症状といえるでしょう。

検査・診断

問診、月経周期の確認、内診の後、腹部超音波(エコー)検査、経腟超音波(エコー)検査、MRI検査などを行います。

子宮がん肉腫は、子宮のなかにポリープのように隆起する病変をつくりやすいため、細胞を採取して早期に診断をつけることができます。

子宮平滑筋肉腫と子宮内膜間質肉腫では病変は子宮内に現れないため、手術で摘出した後の細胞組織診で確定診断がつけられることも少なくありません。子宮筋腫と診断されていたもののなかに、筋腫摘出後の組織細胞診で肉腫であることが判明する場合もあります。子宮平滑筋肉腫や子宮内膜間質肉腫の場合、このように診断がつきにくいうえ、進行が早いこともしばしばみられるので、治療は早めに進められるとよいでしょう。

治療

子宮肉腫では、肉腫の種類にかかわらず、手術による切除が第一選択となります。


●子宮がん肉腫……子宮と両側付属器(卵巣・卵管)を切除する。再発リスクが高い場合には、術後に抗がん剤や内分泌療法(ホルモン療法)を行う。手術法や術後の化学療法については子宮体がんの治療に沿って選択される。

●子宮平滑筋肉腫……子宮と両側付属器を切除する。リンパ節転移の頻度は低く(10%前後)、リンパ節郭清は通常行われない。

●子宮内膜間質肉腫……子宮と両側付属器を切除する。付属器については再発や生存期間に影響しないという報告もあるため、切除しない医療機関もある。再発時には内分泌療法で長期生存を図る。


子宮筋腫の摘出後の細胞組織診で肉腫が判明した場合は、病変の摘出時に肉腫の細胞が播種をきたして(腹腔内にばらまかれる)、再発のリスクが高くなっているため、再手術で腫瘍が残っていないかを確認することがあります。

監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫

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