卵巣がん

らんそうがん

最終編集日:2022/1/11

概要

子宮の両わきにある卵巣にできるがんです。卵巣は女性らしいからだをつくり、その維持を促す女性ホルモンを分泌し、初経から閉経まで卵子を排卵します。

卵巣がんは欧米人に多く日本人には少ない疾患といわれてきましたが、ライフスタイルの欧米化などによって近年は日本でも増加しています。

一般に若い年代には少なく、閉経前後や、妊娠・出産の経験がない女性に発症のリスクが高いとされています。ただし、遺伝的要因も指摘されており、家族や親族に卵巣がんの人がいる場合には若くても注意が必要です。

治療は、手術による腫瘍の切除や、抗がん剤による化学療法が主となります。

原因

卵巣がんの直接的な原因はわかっていません。しかし、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)といって、遺伝的なものによって発症する乳がんや卵巣がんがあり、卵巣がん患者さんの約10%を占めています。

また排卵の回数が多いほど卵巣がんを発症しやすいといわれているため、妊娠や出産の経験がない人のほか、初経が早い人や閉経が遅い人も発症のリスクが高くなる可能性があります。

さらに、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、多嚢胞性卵巣症候群などの婦人科系疾患も影響するとされ、長年にわたるホルモン補充療法、肥満や食事などの生活習慣、排卵誘発剤の使用なども一因と考えられています。

症状

卵巣がんは初期における自覚症状はほとんどなく、気づきにくいがんです。

下腹部のしこりや、食欲不振などの症状で受診し、発見される場合もあります。進行すると腸や膀胱を圧迫して、便秘や頻尿が起きたり、腹部や胸部に水がたまって腹部に張りを感じたりすることもあります。

こうした症状が出てから医療機関を受診した場合は、すでにがんが進行しているケースが少なくないため、急激な腹部の張りや痛みなどの症状が出た場合には、早めに受診することが大切です。がんがほかの部位に転移したことによる症状で、初めて異常を自覚することもあります。

卵巣がん
卵巣がん

検査・診断

卵巣がんの疑いがある場合には、まず子宮や卵巣、直腸とその周囲の状態を調べるために、触診・内診と肛門から指を入れて行う直腸診で検査をします。

また、腫瘍の大きさや形、卵巣以外への転移や周囲の臓器の状態などをみるために超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査などが行われます。

卵巣がんの診断の確定には病理検査が必要です。画像検査や診察だけでは良性の卵巣腫瘍との区別がむずかしく、手術で摘出した組織を顕微鏡で調べる病理検査を行うことによって確定します。

手術前にがんの可能性を探ったり、術後は治療の効果や再発の有無を確認したりするために、腫瘍マーカーによる検査を行うこともあります。

治療

進行した状態で発見されることが多いため、基本的な治療は手術療法と抗がん剤による化学療法を組みあわせて行います。治療法は、がんのステージや年齢、合併症の有無など、患者さんのからだの状態によって選択されます。

手術では通常、卵巣だけでなく卵管、子宮などを切除し、転移の範囲によっては後腹膜リンパ節、腸管、脾臓などを切除することもあります。

卵巣がんは再発しやすいがんですが、一方で抗がん剤が効きやすいがんともいわれます。そのため、抗がん剤による化学療法は手術後だけでなく、広範囲に転移が認められる場合に手術前にがんを小さくするために行われることもあります。

また、脳や骨などへの転移のリスクを減らすために放射線療法を行うこともあります。

将来、出産を希望している女性は、治療について担当医らと十分に話し合い、納得したうえで治療法を選択することが大切です。

セルフケア

予防

症状を自覚しにくい卵巣がんは、どうしても受診が遅れがちになります。早期発見・早期治療のためには、定期的に婦人科検診を受け、気になる症状があった場合はすぐに医療機関を受診することが大切です。

卵巣がんの検診として、経腟超音波検査や腫瘍マーカー検査を受けることもできます。また、低用量ピルを用いて、卵巣の負担を軽減することも予防には効果的といわれています。

一方、遺伝的に卵巣がんになりやすいHBOCと判明している場合には、もっとも有効な対策として予防的切除があります。ただし、この方法をとる場合は、卵巣・卵管を摘出することになりますので、出産など将来のライフプランを踏まえて、担当医らとよく相談する必要があります。

監修

Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科

秋野なな

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