絨毛がんじゅうもうがん
最終編集日:2025/12/19
概要
絨毛がんは、妊娠した際にできる胎盤の栄養膜細胞という細胞が異常増殖してできるがんです。絨毛性疾患の一つで、妊娠の経験がある女性に発症します。
原因
絨毛がんの約半数は、胞状奇胎という病気の後に起こります。胞状奇胎は異常な妊娠ですが、まれに正常な妊娠、出産後にも絨毛がんを発症することがあります。いずれにしても絨毛がんは非常に珍しい悪性腫瘍です。
症状
不正性器出血、せき、胸の痛み、意識障害などの症状が出ます。また、がんが肺に転移している場合は血の混じったたんが出たり、脳転移では脳出血を起こすこともあります。もっとも多い症状は不正性器出血です。
検査・診断
絨毛がんは症状だけでは診断を下せない病気です。不正性器出血があるからといって絨毛がんとは限りません。
不正性器出血などの症状があり、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンの血中濃度が異常高値、経腟超音波検査で異常を認める時に絨毛がんを疑います。
絨毛がんと確定診断するためには病巣を直接調べなければなりません。しかし、子宮を摘出すると妊娠できなくなってしまいます。そのため、画像検査などを含んだ「絨毛がん診断スコア」と呼ばれるスコアでリスク評価を行い、一定の点数以上であれば臨床的絨毛がんと診断します。
治療
絨毛がんは非常に進行が速く転移しやすいことから、抗がん剤による化学療法を行います。化学療法による治療効果は高く、子宮のみの病巣であればほぼ100%、ほかの臓器に転移していても80~90%の確率で寛解するといわれています。
補助的に子宮摘出や肺転移巣切除の手術、放射線治療などを行うこともあります。
セルフケア
病後
絨毛がんでは抗がん剤を用いて治療を行うため、治療後約1年間は避妊が必要です。また経過観察も重要です。
監修
東北大学病院
森 亘平