卵管がんらんかんがん
最終編集日:2021/12/21
概要
卵管がんは子宮と卵巣をつなぐ卵管にできるがんで、女性生殖器に発生するがんの1%程度のたいへん珍しい疾患です。同じく女性の生殖器に発生する卵巣がんは早期発見がむずかしいがんといわれていますが、卵管がんはそれ以上に見つけにくく、リンパ節に転移しやすいのが特徴です。
卵管がんがリンパ節に転移すると全身のリンパ節にがん細胞が流れてしまうため、さまざまな臓器でがんを誘発しやすくなります。
近年は、卵管がんによく効く抗がん剤が登場し、治療後の経過が良好な例が増えています。
原因
卵管がんの原因は、はっきりとはわかっていません。ただ、妊娠、出産の経験がない人や、不妊症の人に発症することが多いため、ホルモンとの関係性が指摘されています。
閉経後の中高年の女性にも多くみられます。卵巣がんから転移するケースも多いことから、遺伝的に乳がんや卵巣がんにかかりやすい遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の人も発症のリスクが高いといえます。
症状
初期は自覚症状がないことが多く、とくに何も異変を感じないことがほとんどです。また、非常にまれながんであるため、多少の症状があっても卵管がんと気づけないケースがたびたびみられます。
病状が進行すると、しだいに腹部の不快感や腹部の張り、骨盤部や腹部の痛み、不正出血、水様性や黄色いおりものなどの症状が現れます。とくに多量の水様性のおりものは卵管がんの特徴的な症状です。
がんがさらに進行すると、腹腔内に体液が貯留して腹水がたまり、骨盤内に圧迫を感じることもあります。
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検査・診断
卵管がんは早期に発見されることはほとんどありません。多くは、定期婦人科検診や、ほかの疾患を疑って画像検査を行った場合に偶然見つかります。
またがんが進行して大きな腫瘍ができたり、腹水がたまったりしたことで医療機関を受診し、初めてがんが疑われることもあります。
卵管がんの検査では、初めに内診を行い、卵管の腫れやしこりの有無を触診します。さらに経腟超音波検査、MRIやCTの画像検査のほか、血液検査で腫瘍マーカーを調べます。
治療
卵管がんは、発見時にはすでに進行してしまっているケースが多く、手術療法が第一に行われることが多いです。
手術にあたっては、がんの診断を確定すると同時に周囲への広がりの程度を判定します。そのうえでがんと周辺の細胞と、病巣周囲のリンパ腺の切除(リンパ節郭清)をしっかりと行い、できる限り転移を予防する方法がとられます。
多くは、あわせて放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法が行われます。
セルフケア
予防
卵管がんはほとんどが閉経後に発症するといわれています。水様性のおりものは卵管がん特有の症状なので、気づいたらすぐに医療機関を受診しましょう。
また、一般的ながん予防と同様に、適度な運動やバランスのよい食事などの健康的な生活習慣を心がけ、禁煙や節酒とともに肥満を防いで、ストレスをためないようにすることが大切です。
監修
Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科
秋野なな
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