卵管がん
らんかんがん

最終編集日:2025/12/18

概要

卵管がんは、子宮と卵巣をつなぐ卵管にできるがんで、女性生殖器に発生するがんの約1%と、非常にまれな疾患です。同じく女性の生殖器に発生する卵巣がんは早期発見がむずかしいがんといわれていますが、卵管がんはそれ以上に見つけにくく、リンパ節などに転移しやすいのが特徴です。

骨盤や傍大動脈リンパ節、腹膜などに転移しやすく、進行すると肝表面や肺などに遠隔転移をきたすこともあります

治療は卵巣がんと同様に、手術と抗がん剤を用いた化学療法が標準治療です。

原因

卵管がんの原因は、はっきりとはわかっていませんが、妊娠・出産の経験がない人や不妊症の人に発症することが多いため、女性ホルモンとの関係が指摘されています。

閉経後の中高年の女性にも多くみられます。また、遺伝的に乳がんや卵巣がんにかかりやすい遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の人も発症リスクが高いといえます。

症状

初期は自覚症状がないことが多く、とくに異変を感じないことがほとんどです。まれながんであるため、多少の症状があっても卵管がんと気づけないケースがたびたびみられます。

病状が進行すると、しだいに腹部の不快感や張り、骨盤部や腹部の痛み、不正性器出血、水様性や黄色いおりものなどの症状が現れます。とくに多量の水様性のおりものは卵管がんの特徴的な症状の一つです。

さらに進行すると、腹腔内に体液が貯留して腹水がたまり、骨盤内に圧迫感を感じることもあります。

卵管がん
卵管がん

検査・診断

卵管がんは早期に発見されることはほとんどありません。多くは定期婦人科検診や、ほかの疾患を疑って画像検査を行った際に偶然見つかります。

また、がんが進行して大きな腫瘍ができたり、腹水がたまったりしたことで医療機関を受診し、初めてがんが疑われることもあります。

検査では、経腟超音波検査、MRIやCTの画像検査のほか、血液検査で腫瘍マーカーを調べます。

治療

卵管がんは発見時にはすでに進行してしまっていることが多く、手術療法が第一に行われることが多いです。手術では、がんの診断を確定すると同時に、周囲への広がりの程度を判定します。そのうえで、がんと周辺の細胞、病巣周囲のリンパ節の切除(リンパ節郭清)をしっかりと行い、できる限り転移を予防する方法がとられます。

多くの場合、抗がん剤を用いた化学療法も併用されます。骨への転移などが認められる場合には、放射線療法を行うこともあります。

セルフケア

予防

卵管がんはほとんどが閉経後に発症するといわれています。水様性のおりものは卵管がんの特徴的な症状の一つなので、気づいたらすぐに医療機関を受診しましょう。

また、一般的ながん予防と同様に、適度な運動やバランスのよい食事などの健康的な生活習慣を心がけ、禁煙や節酒とともに肥満を防いで、ストレスをためないようにすることが大切です。

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監修

東北大学病院

森 亘平