心肥大しんひだい
最終編集日:2023/12/14
概要
心臓を形づくる筋肉(心筋)が分厚くなった状態を指します。
心臓は左側の上の左心房、下の左心室、右側の上の右心房、下の右心室の4つの部屋に分かれていますが、心肥大が起こりやすいのは左心室(左室肥大)、次いで右心室(右室肥大)です。
原因
心肥大はさまざまな病気からひきおこされます。心肥大を現す3大疾患は高血圧症、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症とされており、なかでももっとも頻度が高いのは高血圧症です。
高血圧などがあると、心室が血液を送り出すときの抵抗が強くなり、心筋には常に負荷がかかった状態になります。そのため、心筋壁は厚くなり、弾力性が低下して、収縮が不十分になります。
そのほかに、心アミロイドーシス、心ファブリ病、原発性アルドステロン症、ミトコンドリア病(神経筋疾患)、ヘモクロマトーシス(血液疾患)、先端巨大症、慢性甲状腺炎(橋本病)、褐色細胞腫、脂質やアミノ酸の代謝異常症など、心肥大を起こす病気は多岐にわたります。
症状
倦怠感、疲れやすさ、労作時(からだを動かしているとき)の息切れ、動悸などが起こります。進行すると、手足や顔のむくみ、胸痛、呼吸困難なども現れてきます。しかし、肥大が軽度であれば、無症状のことも多く、健康診断などで指摘されて見つかることもあります。
検査・診断
心電図検査と胸部X線検査で心肥大の存在を確認し、心臓超音波(心エコー)検査でさらにくわしく心臓の状態をみます。原因の特定のために、血圧検査や血液検査のほか、さらに疑われる疾患の検査を併用して診断がつけられます。
治療
原因疾患の治療が優先されます。
セルフケア
療養中
健康診断などで心肥大といわれたら、循環器内科で再検査を受けて心臓の状態をくわしく調べてもらいましょう。原因疾患が特定できたら、治療・コントロールに努めます。心肥大があると、心不全のリスクが高くなったり、なかには心臓突然死が起こることもあります。また、高血圧症に心肥大を併発すると、心筋梗塞などの心血管疾患の発症率が有意に高くなることもわかっています。
監修
小田原循環器病院 循環器内科 院長
杉薫
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