腰痛症
ようつうしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

腰痛症は文字どおり腰が痛くなる症状のことで、腰痛を起こすさまざまな疾患の総称です。その原因は実に多種多様で、腰の疲れや重い物を持ったなどの場合もあれば、腫瘍、骨折、感染症、がんなどの病気によってひきおこされる場合もあります。大別して急性腰痛症(発症から4週間未満)と慢性腰痛症(腰の痛みが3カ月以上持続している)があり、原因、症状などによって治療法も違ってきます。

原因

腰痛の原因を診断するのは簡単なことではありません。さまざまな疾患とのつながりもみられ、原因がなかなか特定できない場合もあります。

腰痛症には急性と慢性があり、それぞれのおもな原因は次のとおりです。

●急性腰痛症

腰に無理な力がかかったときに起こる関節のずれ、腰の軟骨である椎間板(ついかんばん:腰の軟骨)の損傷、腰を支える筋肉、腱、靱帯などの損傷などが原因としてあげられます。ぎっくり腰は急性腰痛症の代表的な症例ですが、そのほかにも圧迫骨折のような骨折が原因の腰痛や、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、脊椎分離症(せきついぶんりしょう)などの病気がひきおこす腰痛もあります。

●慢性腰痛症

長時間同じ姿勢でいるような生活習慣、運動不足、肥満などによる身体的影響や、ストレス、不安、不眠など心理的な要因で起こることが多い腰痛です。また、神経の障害によって起こる神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の可能性もあります。

症状

腰痛の症状は原因によってさまざまですが、訴えが多いのは次のようなものです。

・腰が重くて痛い

・激しく痛んで動かせない

・腰の痛みとともにふくらはぎまでしびれがある

・安静にしていても痛い

・安静時は痛まない

腰痛の治療には何よりも原因を探ることが重要です。医師に相談するときには「どう痛いか」「いつから痛いのか」「腰の痛み以外の症状はあるか」など、思い当たることをくわしく伝えましょう。

検査・診断

問診、触診、画像診断などが行われます。まずは痛みの範囲や腰痛が起きた状況などを注意深く診断し、重要な病気との関連性がないかどうかを検討します。必要に応じてX線検査(レントゲン)、CT検査、MRI検査などの画像検査や血液検査、骨密度検査なども行われます。

治療

軽度の急性腰痛症は安静にすることで自然治癒することも少なくありません。症状が重い場合は薬物療法、神経ブロック療法、装具療法などが行われます。腰痛の原因に骨折や深刻な疾患が関連している場合は、それぞれに対応した治療方針が検討されます。また原因がはっきりしないケースでは、慢性腰痛症に多くみられる社会・心理的な要因を考慮した治療法も選択されます。

●薬物療法(薬による治療)

痛みの原因となっている疾患や痛みの程度などにあわせて適切な薬剤が処方されます。

●神経ブロック療法

局所麻酔薬やステロイド剤によって痛みの悪循環をブロックします。おもに整形外科や麻酔科、ペインクリニックなどで行われる治療法です。

●理学療法(リハビリテーション)

運動やマッサージ、低周波による電気刺激療法などを組み合わせ、代謝機能や身体機能を改善させることで痛みを取り除こうとする治療法です。

●認知行動療法

症状の原因となる考え方や行動パターンを変えていく心理療法です。日常のストレスによる不安障害などが腰痛の原因と診断された場合に選択されます。

●リエゾン療法

専門分野の異なる複数の診療科の医師が連携し、こころとからだの両面から行う治療法です。

セルフケア

予防

日常生活では、体操やストレッチなどを作業の合間に取り入れ、長時間のデスクワークや姿勢の悪さなど腰痛の原因となる行動を改善しましょう。仕事で同じ姿勢を長くとらなければならない場合はときどき腰を回したり、からだを伸ばしたりするなどして腰回りの筋肉を柔らかくしておくことが大切です。家事などを行う際も、中腰や前かがみなどの姿勢をなるべく避けるようにし、急に腰をひねったりしないように気をつけてください。

監修

東馬込しば整形外科院長

柴伸昌

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