脊柱側彎症
せきちゅうそくわんしょう

最終編集日:2023/11/13

概要

脊柱(背骨)は椎骨という小さな骨が32~35個連なって形づくられています。通常、背中から見ると真っすぐに並んでいますが、この並びが左右に曲がった状態を脊柱側彎症と呼びます。曲がりだけでなく、椎骨のねじれを伴うケースも多くみられます。

原因が特定できない「特発性側彎症」、先天性の「先天性側彎症」、ほかの疾患が原因で起こる「症候性側彎症」があり、特発性側彎症が60~70%を占めます。

発症率は1~2%とされ、男女比は1対5で、女性に多くみられます。また成人してから、加齢による椎間板変性、骨粗鬆症に伴う圧迫骨折などから脊柱側彎症を発症するケースも増えています。

原因

症候性側彎症以外は、原因がわかっていません。

症候性は、神経線維腫症、マルファン症候群(マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群)、脳性麻痺、筋ジストロフィー、骨形成不全症などが原因でひきおこされます。

症状

背中を見ると、脊柱が左右に湾曲しています。そのほか、両肩の高さが異なる、肩甲骨の位置に左右差がある、ウエストが左右で異なる、前屈すると左右の肋骨の高さや腰の高さが異なる(前屈テスト)などの偏りがみられます。痛みなどの症状がある場合は少なく、学校検診などで指摘されることが多くなっています。

側彎症単独で、変形が軽度の場合には、心肺機能に影響を及ぼすことはあまりありません。しかし変形が進行したり、脊柱後彎症を併発していたりすると、腰背部痛、動悸、息苦しさなどが現れます。

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脊柱側彎症

検査・診断

視診や、前述の前屈テスト、X線検査で診断をつけ、変形の程度を精査します。変形の程度は、X線画像をもとに「Cobb(コブ)法」という方法を用いて評価します。心肺機能に影響が及んでいないかを調べるために、呼吸機能検査を行うこともあります。

症候性側彎症を疑わせる症状がある場合には、血液検査、CT検査やMRI検査、心臓超音波(心エコー)検査、遺伝子検査などを併用して、原因疾患の特定を行います。

治療

治療には、経過観察と装具治療、手術があります。年齢、変形の程度、小児の場合は成長による変化の予測などを総合的に判断して、治療法を選択します。

経過観察は4~6カ月に1度、外来で経過をみていきます。装具治療は「アンダーアームブレース」などのコルセットを用います。手術では、インプラント(からだに埋め込む人工物のこと)を用いた矯正固定術が行われます。

症候性側彎症では、あわせて原因疾患の治療が行われます。

セルフケア

予防

小児期や思春期に発症し、進行する特発性側彎症は早期発見・早期治療が大切です。学校検診などで指摘があったら、必ず医療機関で精査を受けましょう。

また、高齢期の脊柱側彎症の予防対策としては、中年期からの体幹の筋力強化、骨粗鬆症の予防が重要です。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴伸昌

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