変形性脊椎症
へんけいせいせきついしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

脊椎とは背骨のことで、首からお尻にかけて24個の骨(椎骨)と仙骨、尾骨が連結したものです。そして、椎骨と椎骨の間にはクッションの働きをする軟骨(椎間板)が交互に連結しています。加齢により、この椎間板の水分が少なくなり、少しずつ薄くなって弾力性(クッション性)が失われることで、椎骨同士がぶつかりあうようになると、骨が変形して骨棘(こつきょく)が出てきます。

変形性脊椎症とは、この骨棘が脊椎を通る神経を刺激し、痛みが生じる状態のことです。ただし、椎間板の変化や骨の変形があっても無症状のときもあります。

原因

加齢により、椎間板の水分が減り、弾力性が減ることで生じてきます。椎間板の寿命は遺伝的に差があるともいわれています。また、重いものを運ぶ動作やスポーツは背骨に負担がかかることが多く、変形性脊椎症の症状につながりやすくなります。

このほか、肥満や運動不足、閉経前後の女性ホルモンの減少などが要因として考えられています。

脊柱管が狭くなること(椎間板腔の狭小化)と椎間関節の変形により関節などが変形する
脊柱管が狭くなること(椎間板腔の狭小化)と椎間関節の変形により骨や関節が変形する

症状

起床時や何か動作をし始めたときにからだを動かすと、背中や腰、手足などに痛みが走ります。ときには手や腕にしびれを感じ、力が入りにくいこともあります。

骨棘の場所によっては、神経根を刺激し、坐骨神経痛につながります。また、箸やペンを使うのさえ難しくなる「頸椎症性脊髄症」や、歩いているときや立っているときに、尻から足にかけて痛みやしびれを発症する「腰部脊柱管狭窄症」などをひきおこすこともあります。

検査・診断

椎骨に骨棘が発生しているか、もしくは椎間板が薄くなっているかなどを調べるためにX線検査やCT検査をします。また、手足のしびれや動かしづらさなどの症状が出ている場合はMRI検査などにより、神経が圧迫されていないか確認します。

治療

おもに痛みを緩和する治療を施します。骨棘が神経を圧迫するような痛みが生じる場合、消炎剤や鎮痛剤、筋弛緩剤などを処方します。痛みが発症している神経に直接神経ブロック注射などを注入することもあります。

コルセット装着による局所の安静、運動などを行う理学療法も効果的です。上記のような治療をしても、耐えられないほどの痛みが続く場合は、骨が変形している箇所の切除手術を検討します。

セルフケア

病後

背中を丸めた姿勢や首を曲げたままの姿勢を長時間続けないなど、正しい姿勢を保つことが大切です。

痛みが落ち着き軽くなってきたときに、腹筋を鍛えるストレッチや運動などを行うとよいでしょう。また、ゆっくりと入浴し腰を温めると症状もやわらぎます。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴伸昌

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