脊柱後彎症

せきちゅうこうわんしょう

最終編集日:2023/11/14

概要

脊柱(背骨)は椎骨という骨が並ぶ構造で、首の部分(頸椎:7個)、胸の部分(胸椎:12個)、腰の部分(腰椎:5個)、骨盤の部分(仙骨、尾骨)から成り立っています。立ったところを横から見ると緩やかなS字を描いていて、頸椎は少し前方に、胸椎は後方に、腰椎は前方に湾曲しています。

脊柱後彎症では、何らかの原因によって、胸椎の描くカーブが深くなったり、腰椎の描くカーブが浅くなったりして、自然なS字が崩れた状態になります。大きく分けると、先天性の変形・先天性の病気によるもの(先天性後彎症、骨形成不全症、軟骨無形成症など)と後天性の病気や外傷が原因になるもの、加齢によるものがあります。

原因

先天性・遺伝性のものがなぜ起こるか、原因は明らかになっていません。脊柱後彎症を招く病気としては脊髄の腫瘍、強直性脊椎炎などの炎症、圧迫骨折の外傷などがあります。

加齢によるものでは、脊柱を形づくる椎間板や軟骨、周囲の筋肉や靱帯などが脆弱になって脊柱の自然なカーブを維持できなくなり、脊柱後彎症になります。骨粗鬆症に伴う圧迫骨折が原因になることもあります。

(左)正常な脊柱と(右)脊柱後彎症
(左)正常な脊柱と(右)脊柱後彎症

症状

変形が軽度な場合は、自覚症状はそれほどありません。

変形が大きくなると、腰背部痛、足の痛みやしびれ、筋力の低下などが現れます。痛みは大きく、変形が起きている部位の痛みと、変形によって障害されるほかの関節、筋肉、神経の痛みの2つに分けられます。長時間、同じ姿勢を保つことがむずかしくなり、生活に支障をきたすこともあります。また、前かがみの姿勢がつづくと消化管を圧迫し、逆流性食道炎を起こして胸やけや、みぞおちの辺りに痛みなどが起きることがあります。

検査・診断

視診や脊椎や下肢の関節の機能検査、神経学的検査などの一般診察とX線検査で変形の部位、程度を確認します。変形が矯正可能かどうかを確認することも治療方針を立てるうえで大事な情報です。痛みがある場合は、痛みの原因箇所を特定するために、疑われる脊柱の各部位に麻酔薬を注入し、痛みがとれるかどうかの検査を行うこともあります。成人の脊椎変形の場合は原因疾患の特定が重要で、疑われる疾患にあわせた検査が行われます。

治療

治療は保存療法(リハビリテーション、コルセットなどを用いた装具治療など)と変形を矯正する手術(矯正固定術、骨切り術など)があります。強い痛みがある場合には、神経ブロックなどの痛みを軽減する治療も併用します。

先天性のものでは、変形の形や程度、骨の成熟度、進行の速度などが異なり、また神経系や泌尿器、生殖器などの異常を伴う場合も少なくないため、患者さんごとに適した治療法がタイミングを見計らって行われます。原因疾患に沿った治療も並行して行われます。

高齢者の脊柱後彎症は、加齢による変形で「腰曲がり」「背中曲がり」といわれることもあります。症状がなく、生活に支障がなければ治療の必要はありません。しかし、変形が強くなったり、痛みや逆流性食道炎などの症状があったり、例えば、首を支えられない・腰の曲がりが強すぎるなどで前が見えないような場合には積極的な治療を検討します。


●リハビリテーション・理学療法……腹筋・背筋を中心にしたトレーニングで筋力を維持して脊柱の形態を保ち、さらに痛みの軽減効果も期待できます。

●薬物治療・神経ブロック……痛みが強い場合に非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)などを用います。薬で効果が見込めない場合には、神経ブロックを行います。

●装具療法……コルセットなどを用います。

●手術……上記のような治療で効果が見込めない場合は、手術を考慮します。

セルフケア

予防

成人期の脊柱後彎症では、早期発見と早期の対応が進行防止に有効です。座位や立位での姿勢に注意し、脊椎を伸ばすこと(伸展)が可能になるようにストレッチや背筋の強化を継続するようにしましょう。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴伸昌

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