萎縮性胃炎

いしゅくせいいえん

最終編集日:2023/3/22

概要

胃粘膜に慢性の炎症がつづく状態を指し、「慢性胃炎」と呼ばれることもあります。

何らかの原因で炎症がつづくと、胃粘膜に萎縮が起こり、萎縮の範囲が胃前庭部(十二指腸に近い出口周辺)から胃体部へ広がっていきます。また、胃酸を分泌する胃底腺も減少します。放置すると胃がんの発生につながることもあります。

原因

もっとも大きな原因は、幼少期からのヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染です。かつてはピロリ菌感染者は多く、60代以上の感染率は50%以上とされています。しかし最近は衛生状態の改善で、10代では感染率は5%以下と大きく低下しているため、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎の罹患者数も減少傾向にあります。

そのほか、自己免疫性胃炎(A型胃炎)でも胃粘膜の萎縮がみられ、この場合は自己免疫の異常が原因となります。また、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期間の服用で胃粘膜に炎症が生じ胃粘膜障害を起こすことがあります。

症状

みぞおち周辺の痛み、胃もたれ、吐き気・嘔吐、食欲不振などが長期間つづきます。一方で、まったく症状がない場合もあります。

検査・診断

症状がつづいているという訴えを元に、問診でNSAIDsの服用歴、自己免疫疾患の既往などを確認して内視鏡で①ピロリ菌感染の有無、②胃粘膜の萎縮の広がりの様子、③萎縮以外の胃粘膜の変化などを調べます。

内視鏡検査を行わずにピロリ菌の有無を調べる方法として、尿素呼気試験(UBT)などを選択することもできますが、胃粘膜の状態などを診るためにも、内視鏡検査がすすめられています。

ピロリ菌感染がなく、胃前庭部に萎縮がない場合は、自己免疫性胃炎を疑い、血液検査を行います。同様の症状があるにもかかわらず胃粘膜に病変がない機能性ディスペプシアなどとの鑑別診断も大切です。

治療

ピロリ菌感染が認められた場合、まず除菌治療を行います。複数の除菌薬を1週間服薬する治療で、1回目の服薬(1次除菌療法)で効果がみられない場合は薬剤の組み合わせを変えた2次除菌療法が行われます。

薬剤性の場合は、原因と考えられる薬を、可能であれば休薬します。休薬できない場合は、胃潰瘍に用いられる薬(プロトンポンプ阻害薬など)を用いて症状を緩和します。

自己免疫性胃炎はまだ確立された治療法がなく、ビタミンB12や鉄、葉酸などの投与が行われます。

セルフケア

予防

健康診断などの胃内視鏡検査で萎縮性胃炎を指摘されたら、たとえ無症状であってもくわしく検査し、ピロリ菌感染の有無を確認しましょう。ピロリ菌感染は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になるだけでなく、胃がんの発生にも関与することが明らかになっています。感染があったら、早めに除菌治療を受けましょう。

また、除菌治療が成功した後も、1~2年に1度は内視鏡検査を受けて胃がんの早期発見に努めることがすすめられています。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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