胃粘膜下腫瘍
いねんまくかしゅよう

最終編集日:2022/3/26

概要

胃粘膜下腫瘍とは、胃ポリープと同じように、胃にこぶのようなかたまりができる病気です。

胃の粘膜よりも深い平滑筋や神経、血管、線維などに腫瘍が発生し、粘膜を押し上げます。腫瘍には良性と悪性がありますが、多くの場合は良性で自覚症状はなく、治療の必要もありません。胃粘膜下腫瘍は良性の平滑筋腫であることが多く、悪性の場合は消化管間質腫瘍(GIST)と呼ばれています。

悪性の場合は腫瘍が大きくなって出血することもあり、手術で摘出します。摘出しても再発や転移をすることもあるため、必要に応じて化学療法(抗がん剤)も行います。


原因

胃粘膜下腫瘍は種類が多く、原因不明のものから寄生虫によるものまでさまざまです。悪性の場合は消化管間質腫瘍(GIST)と呼ばれ、遺伝子の異常が原因と考えられています。

症状

ほとんどの場合、自覚症状はありません。健康診断などを受けたときに偶然見つかることが多いようです。腫瘍が大きくなると潰瘍ができて出血し、それに伴って吐血や下血などの症状が現れる場合があります。

検査・診断

胃粘膜下腫瘍が疑われる場合、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)やバリウム検査で胃粘膜の状態をくわしく観察し、診断します。

腫瘍が良性か悪性かを見きわめるために、CT検査やMRI検査で腫瘍の大きさやその状態、範囲などを観察します。必要に応じて、超音波内視鏡検査などで腫瘍の組織を一部切り取り、顕微鏡で調べる病理検査を行います。


治療

多くの種類がある胃粘膜下腫瘍は、種類によって治療方法が異なります。

腫瘍が良性で2cm未満の小さなものであれば、とくに治療する必要はなく、定期的に内視鏡検査によって経過を観察します。

悪性の場合、もしくは腫瘍が5cm以上ある場合には手術で摘出します。5cm未満でも、出血がみられるもの、出血しそうなものは切除します。手術の方法は、内視鏡と腹腔鏡を用いる場合や腹腔鏡のみで行われる場合などがあり、医師と相談しながら決めていきます。

症状が重い場合や、ほかの部位への転移が疑われる場合などは、手術後に化学療法を行います。


セルフケア

病後

胃粘膜下腫瘍が悪性の場合、手術や化学療法が行われることがありますが、化学療法の副作用として吐き気や嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。その場合は、消化のよいものを食べたり、刺激物を避けたりしてください。脱水状態にならないように注意することも大事です。こまめな水分補給を心がけてください。

抗がん剤の副作用で皮膚や爪が薄くなり、ひび割れて切れやすくなったり、割れやすくなったりします。外出するときには日焼けをしないように注意しましょう。爪が割れてしまうときには、透明なマニキュアのトップコートを塗ると爪の保護に効果的です。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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