網膜剥離もうまくはくり
最終編集日:2022/4/7
概要
目の中には、光を感じ取って、脳の視神経に伝達する網膜という薄い膜があります。この網膜が眼底から剥(は)がれて、視力が低下する病気が網膜剥離です。
初期には無症状であるため気づきにくいですが、網膜剥離が進むと、失明する恐れもある病気です。
前兆として目の前に黒い点が飛んでいるように見える飛蚊症や、ピカピカとした光が見える光視症を自覚することもあります。
原因
頭部や眼球に物がぶつかるなど、外傷を起因として生じることもありますが、50歳を過ぎてから突然発症することがよくあります。50代以降は加齢により硝子体(眼球の内部の大半を占めるゼリー状の組織。網膜に覆われている)に変化が起こることが多く、それにより網膜に裂孔(穴や裂け目)ができることで、網膜剥離を生じます。
また、糖尿病や高血圧症など、別の病気に続発して起こることもあります。
症状
初期に、飛蚊症や閃光のようなものが見える光視症という症状が現れます。
病状が進行すると視野欠損が起こり、急に黒いカーテンがかかったように一部分が見えなくなります。網膜の中心部にある黄斑部(おうはんぶ:眼球内の、形や色を見分ける視細胞が密集している部分)まで剥がれると、急激に視力が低下し、失明に至るケースもあります。
検査・診断
瞳孔を大きくする点眼薬を使って、眼底検査を行い、網膜が剥がれているかどうかを調べます。硝子体出血などが起こり、網膜の状態がよく確認できない場合は、超音波検査でくわしく調べることもあります。
治療
網膜剥離は、網膜に裂け目ができてから、やがて剥がれていきます。網膜に裂け目ができた初期の状態では、瞳孔から網膜の穴の周りにレーザーを照射して焼き付ける光凝固法という方法で、裂け目の広がりを防ぎ、治療することができます。
すでに網膜が剥がれている場合は、網膜を元の位置に固定するため、硝子体手術や強膜バックリング手術で対処します。
セルフケア
病後
術後約1カ月は、目に負担がかからないようにすることが大切です。仕事によっては、1〜2カ月で職場復帰が可能ですが、車の運転や重いものをもつなどの行為は避けるようにしましょう。
予防
早期発見が重要になるので、目の前に黒い点が現れる、稲妻のような光が見える、急激に視力が低下したなどの症状がみられる場合は、すぐに眼科を受診しましょう。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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