Question

網膜剥離の手術時間と仕事復帰までの期間は?

網膜剥離の手術をすることになりました。これまで手術というものを受けたことがなく、かなり不安です。手術にかかる時間や、仕事復帰までの期間はどれくらいか教えてください。

男性/50代

2022/05/22

Answer

網膜剥離は、カメラでいうフィルムに相当する目の薄い膜である網膜がはがれる病気です。網膜がはがれると視細胞への栄養供給が途絶え、機能が低下します。そのため、光に対する感度も低下し、剥離した部分の視野や視力に障害が発生します。どの年代にもみられますが、20代と、50代以降に多くなっています。


網膜剥離をそのまま放置すると、失明の可能性が高くなるので、多くは手術が必要となります。網膜剥離の大半は、神経網膜に孔(穴)ができることで起こる「裂孔原性網膜剥離」です。一方、孔をともなわない「非裂孔原性網膜剥離」もあり、このタイプは重症の糖尿病など、ほかの病気に続いて発生します。


ここでは、網膜剥離でもっとも多い「裂孔原性網膜剥離」について説明します。裂孔原性網膜剥離の治療は、網膜の裂孔(裂け目)だけの場合、レーザーや熱凝固、冷凍凝固などで、網膜にできた裂け目をふさぐ処置を行います。凝固による傷が治る過程で瘢痕化(はんこんか)しますが、これによって網膜がはがれることを抑えます。治療部分がくっつくまでには数週間かかり、その間は未治療と同じ状態であること、瘢痕ができたあとも剥離の可能性があるので、経過観察が必要です。手術には、大きく2つの方法があります。

●硝子体手術

目のなかに細い手術器具を入れ、目のなかから裂孔や剥離の原因になっている硝子体を切除する治療方法です。硝子体切除後、剥離した網膜を接着させ、裂孔の周囲をレーザーなどで凝固します。状態によっては、目の中に吸収の遅い特殊なガスなどを入れ、剥離部分の網膜を眼底へ押しつけた状態を数日間保ち、より強く接着させる法を行うこともあります。近年は技術が進歩し、この方法による手術が増えています。

●強膜内陥術

目の外から網膜裂孔に相当する部分にシリコンスポンジなどを縫いつけ、すき間を縮め、孔の周りに熱や冷凍での凝固を行い、剥離した網膜をはがれにくくします。網膜の下に多量の水がたまっているときは、強膜に穴を開けて水分を排出し、網膜を接着させます。さらに特殊なガスを注入して接着を促すこともあり、この場合は手術後に体位制限が必要です。


術式や症例によって異なりますが、一般的な手術時間は1~2時間で、約1週間の入院が目安です。通常は手術後、目の状態が落ち着くまでに少なくとも1~3カ月ほど要します。一般に、手術後1カ月間は目の負担を避け、目が疲れないように過ごし、重いものを持つ、走る、車の運転などは避けるようにしましょう。


網膜剥離の再発は少なく、大半は1回の手術で済むようです。再発する場合は2~3カ月以内に起こることが多く、手術から半年経って病状が安定していれば、ひとまず安心といえるでしょう。自覚症状としては、飛蚊症(ひぶんしょう)、見えない部分がある(視野欠損)、視力低下、物がゆがんで見えるといった症状に注意し、経過をみましょう。


仕事復帰までの期間は、患部の状態によって異なるので、主治医に確認しておくと安心でしょう。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

関連するキーワード

糖尿病性網膜症
眼科
本サービスに掲載される情報は、医師および医療専門職等の監修の元、制作しております。監修者一覧および元となる情報はこちらからご参照ください。
みんなの家庭の医学 アプリイメージ
アプリでも

みんなの家庭の医学

歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談が利用可能

QRコード

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。