網膜色素変性症もうまくしきそへんせいしょう
最終編集日:2022/9/16
概要
網膜色素変性症は、網膜に異常が起こる、遺伝性で進行性の病気です。網膜は入ってきた光を神経信号に変え、視神経を通して脳に送る重要な働きをしている器官です。この網膜にある視細胞が徐々に機能しなくなり、少しずつ視野が狭くなっていきます。
ただし進行速度は非常に遅く、5年単位で検査して視野狭窄がわかるほどです。
現在のところ、確立された治療法はありません。国の難病に指定されているので医療費の助成を受けることができます。
原因
網膜にある視細胞やそれに関係する遺伝子の異常によって起こると考えられています。発生頻度は4000〜8000人に1人です。遺伝性の病気といわれますが、明らかな遺伝によるものが50%、遺伝と認められないものが50%です。
症状
初期症状は夜盲、通称「鳥目」で、夜間や薄暗い場所でものが見えにくくなります。その後、徐々に視野が狭くなる視野狭窄が進行します。周辺部から中心部へと狭窄は進んでいきます。人にぶつかったり、車の運転に支障をきたしたりすることで発症に気づくケースが多くみられます。徐々に視力が低下していき、失明することもあります。
検査・診断
診断では、まず視力検査や眼底検査が行われます。眼底検査で色素沈着や視神経の萎縮がみられると網膜色素変性症が疑われます。夜盲を調べる暗順応検査、視野検査、ERG(網膜電図)検査などにより、診断が確定します。
治療
今のところ確立された治療法はありません。
対症療法として、明るさを感じる機能を維持するためのビタミンA剤や、神経細胞への血流障害を改善する循環改善薬などを服用します。また、まぶしさ抑える遮光眼鏡、文字を読みやすくする拡大鏡などが使われます。
現在、iPS細胞治療、遺伝子治療、網膜移植、人工網膜の研究開発などが進められています。
セルフケア
療養中
ものが見えにくくなることで、生活のなかで不便さを感じるようになります。遮光眼鏡、拡大鏡や弱視眼鏡、タイポスコープなどを積極的に利用しましょう。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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