網膜分離症
もうまくぶんりしょう

最終編集日:2024/6/22

概要

眼球の内側をおおい、見た物の像を結ぶ「網膜」は、9層の神経網膜(感覚網膜)と1層の網膜色素上皮の計10層からなっています。網膜分離症は、一部の網膜の層が分離した状態を指します。よく似た病態に、網膜剥離があります。網膜剥離は全部の層が剥離するため、網膜分離症よりも重い症状(視力低下)が現れます。

原因

原因としてもっとも頻度が高いのが、強度近視です。強度近視とは、眼軸長26.5㎜以上(正常な眼軸長は23~24㎜)、近視の状態を表す屈折度数が-6.0Dを超えているものを指します。

強度近視では眼球の前後の長さ(眼軸長)が伸びているため、網膜に力がかかり、分離を引き起こします。強度近視の約10%に網膜分離症がみられるとされています。

そのほか、まれに緑内障に合併することがあるとされています。また、小児に発症する遺伝性の先天網膜分離症もありますが、頻度は高くありません。

症状

網膜分離が起きても、無症状の場合も多くみられます。

進行すると、視力低下や物がゆがんで見える、視野に見えない部分がある(暗点)など、さまざまな視力障害が現れます。

検査・診断

視力検査と眼底検査が行われます。必要に応じて、眼底三次元画像解析(OCT)検査でさらにくわしく網膜の様子を精査することもあります。網膜剥離との鑑別が必要です。

治療

症状がない場合は、経過観察を行います。症状がみられるようになったら、硝子体手術を行います。手術では9層のうちもっとも内側にある内境界膜という薄い膜を剥離・除去します。内境界膜を除去すると、網膜にかかる引っ張る力が解除されます。分離した網膜は1年程度で治癒します。しかし、なかには視力が完全には回復しないケースもあります。

セルフケア

予防

網膜分離症を放置すると、黄斑剥離や黄斑円孔網膜剥離などを引き起こし、治療しても視力が戻らない、あるいは失明する場合もあります。

強度近視がある場合には、網膜分離症のリスクを考慮して、定期的に眼科を受診して眼底検査を受けることがすすめられます。

監修

井上眼科病院院長

井上賢治

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