Question

子宮頸がん検診でHPV陽性判定。どのようなリスクがある?

娘が毎年受けている子宮頸がんの検診で、初めてHPV陽性の判定を受けました。これはこの1年間でHPVウイルスに新規感染したということでしょうか? それとも潜在的に感染しており、免疫低下などでHPVウイルスが活発になったため陽性となり、子宮頸がんになるリスクが高まったということでしょうか?

女性/60代

2022/10/23

Answer

娘さんの子宮頸がん検診で初めて陽性判定が出たとのこと。家族としてはご心配のことと思います。

子宮頸がんの発生は、その多くにHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られており、ほとんどの大人が感染しているごくありふれたウイルスです。HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスで100以上の種類があります。粘膜に感染するHPVのうち、少なくとも15種類が子宮頸がんの人から検出され、ハイリスク型HPVと呼ばれています。そのなかでも特に16型と18型がハイリスクのHPVといわれています。


HPVに感染しただけではまったく症状はありません。感染しても約90%の人は免疫の力で自然排出されますが、約10%の人ではHPV感染が長期間持続します。ハイリスク型HPVが長期間持続感染すると、子宮頸部の細胞に異形成と呼ばれる前がん病変を経て、数年あるいは数十年かけて子宮頸がんに進展すると考えられています。しかし、子宮頸がんまで進む割合もごくわずかで、その間に自然にウイルスが排出されることも多いといわれています。


このように感染してもがんに進行するまでには長い時間がかかるので、定期的に検診を受けていれば早期発見につながります。検診はおもに細胞診という方法で行われていますが、最近ではハイリスク型HPVに感染しているかを調べるHPV検査が普及しています。ただし、このHPV検査ではHPVの型はわかりません。


HPVの感染には潜在感染と持続感染という2つの状態があります。HPVが粘膜の中に入り込んでいる状態を潜伏感染といい、このときにHPV検査を行うと陰性になります。一方、HPVが潜在せず粘膜の表面にとどまる状態を持続感染といい、このときにHPV検査を行うと陽性反応が出ます。潜伏したHPVは、体調不良などで免疫力が低下したときに粘膜の表面に出てきやすくなり、体調が回復するとまた潜伏すると考えられています。


継続的に陽性反応が出る場合には持続感染状態にあり、長い間排除されずに感染したままでいると、子宮頸がんが発生すると考えられています。上記でも説明しましたが、ほとんどのHPV感染は一過性であり、免疫力により自然消失します。しかし、まれに持続感染することも考えられます。念のため、娘さんには一度婦人科を受診してもらい。専門医の診断を仰ぐことが、本人や家族の安心につながるかと思います。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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