空気嚥下症(呑気症)くうきえんげしょう・どんきしょう
最終編集日:2022/3/27
概要
空気嚥下症は無意識に空気を飲み込んでしまう病気で、「吞気症」とも呼ばれます。
食事をするときには空気も一緒に飲み込みますが、飲み込んだ空気はげっぷやおならとなって体外に出ます。空気を飲み込む行動が習慣になり、空気が胃や腸にたまると胸やけを起こしたり、げっぷが止まらなくなったりします。
精神的ストレスが原因となっているケースが多く、消化器内科だけでなく、精神科や心療内科の診察も必要となります。
原因
無意識のうちに空気をたくさん飲み込んでしまうことで起きる病気ですが、その原因として考えられているのが精神的ストレスです。精神的に不安定な状態や緊張しているときなどには、つばと一緒に空気を飲み込みやすくなります。このことから神経症などのこころの病気が引き金になっていると考えられます。
ほかにも消化器の異常、呼吸不全、心不全などでもこの症状が現れることがあります。また早食いやがぶ飲み、猫背、口呼吸の人も空気嚥下症を発症しやすいとされています。
症状
おもな症状は、げっぷとおなら、胸やけ、吐き気などです。胃や腸に不快な感じがすることもあります。
肩こりや頭痛、目の痛みや疲れ、あごの痛みなどの症状が出る場合もあります。これは胸やけなどの症状をやわらげようしてつばを飲み込み、その際に奥歯を噛みしめることで現れる症状です。
検査・診断
問診で症状をくわしく確認してから、身体診察を行います。
検査はX線検査や内視鏡検査、腹部CT検査、腹部超音波検査などの画像検査を行い、胃のなかに空気が入っていないか、ほかの病気が発生していないかなどを確認します。
治療
消化器の異常が原因で空気嚥下症が発症している場合には、その病気にあわせた治療を行います。精神的な不安やストレスが原因となっている場合は、心理療法や薬物療法を行います。
まずは病気を理解し、空気を飲み込む習慣を改善するために、食生活や生活習慣の見直しなどの指導が行われます。
薬による治療は、症状が軽い場合には消化管機能改善薬、消泡薬、消化酵素薬などが使用され、重症の場合には抗うつ薬や抗不安薬などの向精神薬が使用されます。また、必要以上に強くかみしめることが原因で症状がみられる場合には、症状改善のためにマウスピースを使用することがあります。
セルフケア
病後
胃や腸に異常が見つからなかった場合、空気嚥下症の原因としてもっとも考えられるのはストレスです。日頃からストレス解消をはかりましょう。
散歩やウォーキングなどの軽い運動、友人とのおしゃべり、ショッピングなどによる気分転換は自律神経のバランスを保つのに有効です。
食生活を見直すことも大切です。早食いや多量の飲料摂取は、食べ物と一緒にたくさんの空気を飲み込むことになります。
麺類やスープなどは、空気を一緒に飲み込んでしまいがちなので、ゆっくりかむようにして食べましょう。
脂肪分の多い食事は胸やけを起こしやすいので控えめにし、胃腸に負担をかける味の濃いもの、辛いもの、冷たいものも要注意です。
かみしめすぎによる肩こりや頭痛などの症状を併発している場合は、マウスピースをつけると症状が改善することがあります。歯科医や口腔外科医に相談しましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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