胃酸過多症
いさんかたしょう

最終編集日:2022/3/27

概要

胃酸が通常よりも多く分泌され、胃液中の酸度が異常に高くなってしまうために、胸やけやげっぷ、呑酸(どんさん:酸っぱい液体が胃からこみあげてくる状態)などの症状が現れる状態が胃酸過多症です。胃酸の分泌が多くなる原因は、過食や睡眠不足、精神的・身体的ストレスなどが考えられます。胃酸過多症は重篤な病気ではありませんが、放置すると逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などをひき起こす可能性があります。

原因

胃酸は、暴飲暴食、過度のストレス、過労や睡眠不足などによる自律神経の乱れ、アルコールやカフェイン、香辛料、柑橘類などの刺激物の過剰摂取によって分泌量が多くなります。

胃酸過多の状態になったとしても一過性であれば、それほど心配する必要はありません。しかし胃に負担をかけるような生活が長期にわたってつづくと、胃炎から胃潰瘍、十二指腸潰瘍を発症しかねません。とくにピロリ菌感染があり胃酸分泌が増加すると胃潰瘍または十二指腸潰瘍の原因となります。膵臓などにできる腫瘍(ガストリノーマ)により、胃酸の過剰分泌が起こることもあります。



症状

おもな症状として、胸やけ、胃もたれ、げっぷ、呑酸(酸っぱい液が胃からこみあげてくる状態)、吐き気、こみあげてくる胃酸による口臭、胃痛などがみられます。

検査・診断

多くの場合は問診による自覚症状から診断に至ります。そのほか、口や鼻から細いチューブを挿入し、胃液を採取して酸性度と分泌量を測定することで詳しく検査をすることもあります。

診断がついたら、胃酸過多が原因となる病変の有無を調べるために、胃内視鏡検査を行う場合があります。


治療

通常、胃酸の分泌を抑える薬による治療と食事指導や生活指導が並行して行われます。胃酸の分泌を抑える薬を使用しても症状が改善しない場合や再発をくり返すような場合は、血液検査、CT検査、内視鏡検査などの精密検査を行って原因を調べます。そのうえで原因疾患に対する治療を行います。

セルフケア

予防

胃酸は消化に欠かせないものですが、出すぎると強い酸が食道などを傷つけます。胃酸の過剰分泌を抑えるためには、ストレスを抱えないようにして、十分な睡眠をとるように心がけ、自律神経のバランスを整えましょう。症状がつづく場合には食生活や飲酒量、喫煙習慣の見直しが必要です。


胃酸の分泌を促進する飲食物

・香辛料

・酢の物や柑橘類などの酸味の強いもの

・炭酸飲料

・コーヒー、紅茶



監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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