十二指腸憩室

じゅうにしちょうけいしつ

最終編集日:2023/12/7

概要

憩室は、消化管の一部が袋状になって壁の外側に突出した状態を指します。大腸にできる大腸憩室の頻度が高いのですが、十二指腸にも発生し、発生率は10~20%とされます。十二指腸は上から、球部、下行部、水平部、上行部に分けられますが、憩室が好発するのは下行部です。とくに胆管と膵管の出口であるファーター乳頭という部分の近くに多く、この部分にできた憩室を「傍乳頭憩室」と呼んでいます。

十二指腸憩室は世代を問わずに発症しますが、加齢とともに患者数は増加します。

原因

なぜ憩室ができるかは明らかになっていません。頻度の高いファーター乳頭付近は、発生学的にみて組織が脆弱であるため、憩室ができやすいと考えられています。

症状

傍乳頭憩室以外の十二指腸憩室のほとんどは無症状です。健康診断やほかの病気の検査で上部消化管X線検査や上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査を受けたときに偶然見つかることが多いようです。

一方、傍乳頭憩室では、胆管炎膵炎を合併して、上腹部痛、下痢、嘔吐、黄疸(おうだん)、発熱などの症状が現れることがあります。ファーター乳頭には胆管と膵管の開口部がありますが、憩室内に摂取した食物などがたまって胆管や膵管を圧迫することが炎症の原因となります。胆管炎や膵炎を合併したものを「レンメル症候群」と呼んでいます。

検査・診断

上部消化管X線検査、上部消化管内視鏡検査で憩室の状態を把握します。レンメル症候群が疑われる場合は、MRIやMRCP(MR胆管膵管撮影)などの画像診断を併用します。胆管結石や憩室のない膵炎などとの鑑別が必要です。

治療

症状がなく、レンメル症候群の合併がなければ、治療の必要はありません。

出血を起こしている場合は、内視鏡下でクリップによる止血術や、太ももの付け根の動脈からカテーテルを挿入し、出血血管を閉塞して止血する血管内治療(IVR)が行われます。

レンメル症候群を合併している場合には、抗菌薬の投与で改善を図ります。効果が十分でない場合、憩室内に食塊(食物)が貯留して体積が大きくなり、胆管や膵管を圧迫していれば、まず内視鏡下で憩室腔から食塊を除去して(内視鏡的食物残渣除去)、胆管・膵管への圧迫を解除します。また、バルーンカテーテルを用いた内視鏡的乳頭拡張術(EPBD)などが行われることもあります。

憩室をそのままにしておくと再発のリスクが高いため、手術を考慮します。手術には、憩室自体に対するもの(憩室切除術、乳頭形成術など)と、狭窄や閉塞を起こした消化管に対するバイパス術(胆管十二指腸吻合術、胆管空腸吻合術など)があります。

手術法は、憩室の大きさ、場所、周囲の組織との癒着の程度、炎症の程度、合併症などを考慮して決められます。

セルフケア

病後

十二指腸憩室は基本的に治療の必要はなく、経過観察も不要とする場合がほとんどです。しかし、レンメル症候群や胆管結石などを合併している場合には、適切な治療を受けることが重要です。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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