ばね指
ばねゆび

最終編集日:2025/3/7

概要

手には、筋肉と骨をつなぐ「腱」を包む「腱鞘」という組織が炎症を起こす「腱鞘炎」が起こりやすいとされています。腱鞘は腱を通すトンネルの役目をしていて、腱がスムーズに動くように働く「滑膜性腱鞘」と、腱を押さえる「靭帯性腱鞘」があります。腱鞘炎では炎症を起こした腱鞘が腫れて腱との間に摩擦を起こし、痛みや動かしにくさなどが現れます。

「ばね指」は腱鞘炎の一つで、手のひらにある「A1腱鞘部」という靭帯性腱鞘に炎症が起こります。こぶしを握って指を伸ばすとき、ばねのように急に伸びるため、ばね指、あるいは弾発指と呼ばれています。

成人女性に好発し、妊娠・出産や授乳に伴って発症するケースもあります。


原因

手指の酷使、妊娠・出産・授乳、更年期、糖尿病関節リウマチなどの持病、人工透析などが発症にかかわるとされています。

手指の使いすぎを起こすものとして、パソコンやスマートフォンの操作、ピアノなどの楽器演奏、ゴルフなどのスポーツ、編み物・裁縫、洗い物などの家事が挙げられます。

女性に多いこと、出産や授乳、更年期をきっかけに発症するケースもあることから、ホルモンの関与も考えられています。



症状

手指の付け根が腫れる、圧痛(押すと痛む)がある、手指が動かしにくい、動かすと痛みが出る、曲げた指を伸ばしにくい、伸ばそうとするとひっかかり、ばねのように急に伸びる、などが現れます。進行すると手指が動かなくなることもあります。

検査・診断

特徴的な手指の症状がみられたら、超音波検査、X線検査、MRIなどの画像検査で腱や腱鞘、骨、関節の状態を精査します。

手根管症候群、関節炎、関節リウマチ、ドケルバン病などとの鑑別が行われます。


治療

まずは局所の安静を図ります。手指を使わないようにし、必要であればシーネ(添え木)やテーピングで固定します。痛みが強い場合は、消炎鎮痛薬を内服し、腱鞘内にステロイドを注射します。腱鞘内ステロイド注射は痛みの改善に効果的で、2~3回の注射で約40%が1年以上改善されたという報告もあります。しかし時間の経過とともに症状が再燃するケースも少なくありません。

痛みが治まってきたら、手や手指のストレッチを行い、腱や腱鞘の柔軟性を高めます。

これらの保存療法で改善がみられない場合は、腱鞘を切開する手術を行います。


セルフケア

療養中

日ごろから、手指を使いすぎないようにします。楽になるようなら、手や手指のサポーターなど市販のグッズを用いてもいいでしょう。使いすぎたときには、熱感があれば冷やし、関節のこわばりが強いようなら温めます。



予防

ばね指を思わせる症状が現れたら、整形外科や手の外科を受診します。受診の際には手・手指のストレッチ法を指導してもらい、実践しましょう。

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監修

東馬込しば整形外科 院長

柴 伸昌