頸椎ねんざ
けいついねんざ

最終編集日:2022/5/31

概要

頸椎ねんざは、交通事故や首の外傷によって頸部に強い衝撃を受けたことで発症し、骨折や脱臼のないものを指します。一般的には、むち打ち症と呼ばれています。損傷箇所が頸椎椎間板や椎間関節のほか、頸椎周囲の筋肉や靱帯、神経、血管などにおよび、首の痛み、頭痛、肩こり、吐き気、めまいなどの症状が起こります。通常は、安静にしていれば数週間程度で症状は治まっていきますが、なかには長期化することもあります。

原因

原因の多くは、交通事故やスポーツなどによる受傷です。交通事故や転倒などで首に強い力が加わり痛みなどが生じますが、骨折や脱臼によるものではなく、首の筋肉や靱帯を傷めたことが原因です。受傷の際の衝撃に対し、反射的に防御のための筋緊張が生じ、衝撃の大きさによっては筋や靱帯の損傷が生じます。頸椎の変形や椎間板障害などの既往があると、症状が出やすいといわれています。交通事故の頸椎ねんざの場合には、受傷後3カ月で80%近い人が治癒し、6カ月以上症状を有している人は10%程度です。

症状

さまざまな症状が現れます。なかには長期間にわたって頸部痛、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどの症状が出る人もいます。椎間関節の炎症や頸椎周囲の筋肉の緊張、神経の炎症などによってさまざまな症状が出ると考えられています。頸椎ねんざの受傷者に出現する頸部痛は、受傷から数時間後に発生することが多くあります。


●おもな症状

・首の痛み・しびれ、首の運動制限

・上肢の痛み・しびれ

・上肢の知覚障害、握力低下

・頭痛、めまい、ふらつき感、吐き気

・耳鳴り、目のちらつき・かすみ、眼精疲労、倦怠感

・頸部の痛み、肩甲帯の痛み、肩こり

検査・診断

頸椎ねんざは、まず問診で受傷時の状況や自覚症状を確認します。つづいて、X線検査やMRI検査で骨折や脱臼の有無、頸椎ほか、靱帯や神経、椎間板などにも損傷がないかを調べます。頸椎ねんざは、交通事故によるものが多いため、初期段階から画像診断を行い、正確な診断を受けることが必要となります。

治療

治療は急性期で熱感や痛みがある場合は、アイシングなどで炎症を治めます。また、頸部、肩甲帯の筋緊張による二次的な頸部痛、肩こりに対しては、湿布、マッサージ、ストレッチ、温熱療法などの理学的治療が有効です。頸部の運動時痛が著しい、あるいは上肢の痛みやしびれがある場合にはネックカラーの装着が必要となりますが、運動時の痛みが強くない場合には装着しないほうがその後の経過がよいといわれます。長期の装着は逆に症状の長期化の原因になる可能性があり、避けたほうがよいとされています。症状が強い場合は、病院で処方される消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの服用が有効です。

長期の安静は回復の障害となりますが、日常生活やスポーツ活動で頸椎に過度な負担のかかる運動は、頸部の痛みや違和感、肩こりなどの症状が軽減しにくくなり、慢性化する場合もあるので注意しましょう。

セルフケア

療養中

安静期間が過ぎたら、痛みの長期化を予防するため、積極的に頸椎を動かしましょう。症状が慢性化している場合には、安静や生活制限ではなく、ストレッチなどの体操を行い、頸椎を動かしていきます。頸椎ねんざは、一般的には数週間から2〜3カ月で治るものとされていますが、時間が経っても症状が残るケースもあるため、医師と相談しながら的確にケアしましょう。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴 伸昌

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