結節性紅斑けっせつせいこうはん
最終編集日:2025/1/29
概要
皮下脂肪の組織が炎症を起こし、多発性の赤いふくらみのある斑点(紅斑)が現れる病気です。
紅斑は下腿に好発しますが、足の裏や腕に出現することもあります。溶連菌などの細菌やウイルス、真菌(カビ)の感染後や、特定の薬剤の摂取後(サルファ剤、経口避妊薬、BRAF阻害薬など)に発症がみられます。
20~40代の女性に起こりやすいとされています。
原因
感染症や薬剤のほかには、ベーチェット病やサルコイドーシス、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、悪性リンパ腫などが原因でひきおこされることもあります。
しかし、原因が特定できない「特発性」が最も多いとされています。
症状
すねを中心に、大きさが2~3cm程度までの紅斑が現れます。左右対称に現れることが多く、熱感や圧痛(押すと痛む)を伴います。紅斑同士がつながって大きくなることもあり、発熱や関節痛もみられます。
以上のような特徴的な皮疹が現れたら、皮膚科を受診します。
結節性紅斑を起こす基礎疾患が存在する場合は、基礎疾患によるさまざまな症状が現れます。例えば、ベーチェット病では口内炎、視力の異常、下腿以外の皮膚病変などが、サルコイドーシスでは目や皮膚の異常、せきや息切れ、動悸などが、炎症性腸疾患では下痢・便秘・血便、腹痛などがみられます。
検査・診断
問診、皮疹の様子から結節性紅斑が疑われたら、血液検査、皮膚生検などを行います。
基礎疾患の有無を精査するために、X線検査、CT検査など、それぞれの疾患に必要な検査が行われます。
蜂窩織炎、皮膚動脈炎など、ほかの皮膚疾患との鑑別も重要です。
治療
まず、安静を保ちます。対症療法(根本的な治療ではなく、症状を軽減する治療)として、痛みと発熱に対して非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられますが、ヨウ化カリウムやコルヒチンの内服薬も有効なことがあります。
これらが効かない重症例には、ステロイドの内服薬を使用します。また、ステロイドの外用薬を皮疹に塗ることもあります。
基礎疾患の治療も並行して実施します。発症に薬剤の関与が考えられる場合は、服薬を中止して症状の改善を図ります。
セルフケア
療養中
結節性紅斑は、通常は数カ月程度で治まりますが、再発をくり返すこともあります。
安静(歩行制限)・下肢挙上(すねを上に上げておく)・冷却が症状の改善には効果があるとされています。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑 慎司


みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。