白皮症はくひしょう
最終編集日:2025/2/4
概要
皮膚の色はさまざまな色素(メラニン、カロテン、ヘモグロビンなど)の量によって決まりますが、最も重要なのはメラニンです。白皮症はメラニンの合成が何らかの遺伝子の異常で障害され、皮膚・眼・毛髪のメラニン量が不足することで起こる、先天性の病気です。白皮症で最も頻度が高いのが「眼皮膚白皮症」です。ここでは眼皮膚白皮症について説明します。
眼皮膚白皮症は皮膚・眼・毛髪だけでなく全身症状を伴う「症候型」と、伴わない「非症候型」に分けられます。
患者数は日本国内に約5000人で、厚生労働省の指定難病となっています。
原因
メラニンの合成にかかわる遺伝子異常が原因です。どの遺伝子に異常があるかによって、いくつかのタイプに分類されます。
症状
出生時から、肌が白い、日焼けしない、眼の虹彩が青や灰色に見える、毛髪が薄い茶色・白・シルバーなどの外見上の特徴を示し、羞明(過剰にまぶしく感じる)、斜視、眼振(意思とは関係なく眼球が小刻みに揺れる)、視力障害(弱視)が現れます。
症候型では、出血しやすい、免疫不全(感染しやすい)などの全身症状がみられます。
また、症候型は筋力低下やてんかん、歩行障害、末梢神経障害、精神発達遅滞などを合併するもの、40歳以降に間質性肺炎や肉芽腫性大腸炎などのリスクが高くなるものなど、異常のある遺伝子によってさまざまな症状が現れます。
多くは出生時や1カ月検診などで指摘されます。皮膚科を中心に、症状にあわせて小児科、眼科、神経内科などとの連携で治療が行われます。
検査・診断
皮膚や毛髪、眼の所見から眼皮膚白皮症が疑われたら、眼底検査、視力検査、血液検査を行い、確定診断のためには遺伝子検査を用います。
40歳以降では、合併症を念頭に置き、呼吸器や消化器の検査も行われます。
治療
根本的な治療法はまだ確立されていません。
視覚障害に対しては、矯正眼鏡の使用と、乳児期からロービジョンケア(視覚障害のある人に、医療的・教育的・心理的・社会的など、さまざまな側面から支援すること)が行われます。
斜視や眼振が強い場合には、手術が考慮されます。
また症候型で合併症を起こしている場合は、合併症の治療が行われます。
セルフケア
療養中
治療に加えて、以下のようなことに留意して生活を送ることが大切です。
●紫外線、光線を避ける
外出時に日傘、サングラス・遮光眼鏡、帽子、サンスクリーン剤を使用、カモフラージュメイクなど。顔だけでなく、首、耳、腕、脚にも対策を行います。日光の強い時間帯の外出を避けるのも有効です。また室内では、照明が明るすぎないようにします。
●40歳以降では、皮膚がんのサインを見逃さない
中年以降になると、皮膚がんのリスクが高くなるため、皮膚に異常がみられたら早めに受診します。
●合併症のサインにも注意する
症候型では、間質性肺炎や大腸炎など、深刻な病気を合併するケースがあります。治療に遅れが生じないよう、呼吸器症状(せきや息苦しさ)、消化器症状(腹痛、下痢、血便)などがみられたら、速やかに主治医に相談します。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑 慎司


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