手足口病にコロナ…夏の「感染症ドミノ」に要注意!

最終編集日:2024/8/5

「三大夏かぜ」と呼ばれる手足口病ヘルパンギーナ咽頭結膜熱に加え、今年の夏はマイコプラズマ肺炎新型コロナウイルス感染症RSウイルス感染症なども流行、あるいは流行の兆しをみせています。これらの感染症に次々にかかる「感染症ドミノ」が起こることもあり、注意が必要です。


●代表的な夏の感染症は「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」


手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱はウイルスに感染して起こる病気(急性ウイルス性感染症)です。かかりやすいのは幼児や児童で、初夏の頃から患者が増え始め、流行のピークは7〜8月頃です。ほとんどの場合は軽症で、7日ほどで治癒しますが、まれに髄膜炎や肺炎などの合併症を起こす場合もあります。

症状は、「手足口病」では口の中の粘膜、手のひら、足の裏や甲などに2〜3㎜ほどの水疱性の発疹が現れます。ひじやひざ、お尻に現れることもあります。患者さんの3分の1は発熱を伴います。特にかかりやすいのは1歳から4歳ぐらいまでの子どもです。

「ヘルパンギーナ」は、突然の発熱に続いてのどの痛みが出現し、赤くなったのどに小水疱が現れます。特にかかりやすいのは5歳以下の子どもです。

「咽頭結膜熱」は、38〜39℃の発熱に続き、咽頭炎によるのどの痛み、結膜炎による目の充血・痛みなどが現れる病気です。特にかかりやすいのは5歳以下の子どもです。



●次々と病気にかかる「感染症ドミノ」


ひとつの感染症にかかったあとに、ほかの感染症に次々とかかる感染症ドミノが起こることもあります。例えば、手足口病にかかり、ようやく治ってきたと思ったら、ヘルパンギーナにかかり、やっとそれも治って幼稚園などに行き始めたら新型コロナウイルス感染症にかかってしまうという具合です。

その原因としては、近年、夏の感染症の流行時期が長引いている傾向にあることと、コロナ禍で徹底されていた感染対策が緩み、脱マスクが進んだことがあるようです。

また、免疫の働きが低下していることも考えられます。免疫とは、体内に侵入してきた病原体(ウイルス、細菌など)を排除する体のしくみのことですが、その働きが暑さによる疲れ(夏バテ)、睡眠不足、食欲不振などによって低下することがあり、それにより病原体に感染しやすくなります。また、体の回復期は免疫も十分に回復していない時期であり、別の感染症にかかりやすい状態になっています。

したがって、感染症にかかった場合は、症状が治まったあともすぐに元の生活に戻すのではなく、2〜3週間ほどは回復期と心得て、ゆったりとしたスケジュールで子どもが過ごせるようにしましょう。十分な睡眠、栄養のバランスのよい食事も免疫の回復につながります。

予防は、基本的な感染対策を徹底することが大事です。コロナ禍で習慣になっていた手洗いがおろそかになっているようなら、改めましょう。家庭内感染を防ぐために、手洗い後のタオルは共有しないようにします(ペーパータオルもおすすめです)。人込みや換気の悪い場所にはなるべく行かないようにし、行く場合はマスクを着用しましょう。



●大人がかかる場合もある


手足口病やヘルパンギーナ、咽頭結膜熱は主に子どもがかかる病気ですが、まれに大人がかかることがあります。その多くは家庭内感染で子どもから感染していますが、感染ルートが不明な場合もあります。発熱や発疹、のどの痛みなど、子どもと同じような症状があり、症状が強い場合は、医療機関を受診しましょう。手足口病は大人がかかると症状が重くなることがあり、要注意です。

なお、これら3つの感染症とは別に、夏のかぜ症状(発熱、のどの痛み、鼻水、せきなど)も「夏かぜ」と呼ばれています。夏の高温多湿な環境を好むウイルスに感染したことで起こるかぜで、大人がかかりやすいのはこちらです。


監修

クリニックばんびぃに 院長

時田章史

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