緊張型頭痛
きんちょうがたずつう

最終編集日:2022/1/11

概要

頭のまわりから首、肩、背中にかけての筋肉が緊張することで生じる頭痛です。身体的、精神的ストレスに関連して発症すると考えられています。

身体的ストレスとしては、長時間同じ姿勢をとりつづけることや血管の圧迫、疲れなどが挙げられます。

身体的なストレスがない場合でも、精神的に緊張した状態がつづくと、頭痛が生じることもあります。うつ病など、こころの病気から起こることもあるといわれています。

原因

パソコンやスマートフォン、ゲームなど、長時間にかけて、不自然な体勢をつづけると、発症しやすくなります。また、前かがみやうつむき加減の姿勢のまま、一定時間動かないときも同様です。

血行が悪くなることで生じる頭痛のため、からだの冷えから起こることもあります。また不安や緊張、プレッシャーなどで精神的な緊張が高まるときにも生じる頭痛です。

前傾姿勢では重い頭を支えるために、うなじ、後頸部、背中、肩の筋肉の緊張が亢進し(高まり)持続すると、慢性的な筋緊張が亢進します。寒さでも、精神的な緊張でも、筋緊張は亢進します。運動することで緊張はほぐれ、血流も改善されますが、同じ姿勢を長く持続したりすると蓄積されます。この中を走行する神経が同じ姿勢をつづけることで刺激され、痛みを感じやすくなります。

症状

頭重感や圧迫感により、ジワジワと締めつけられるような痛みを感じます。数十分~数時間持続することが多い頭痛ですが、ズキズキとした痛みは少なく、がまんできないほどではないため、日常生活にあまり支障はきたさずに過ごしがちです。後頭部を中心に圧迫されるような、重苦しい感じの鈍痛が多いですが、浮動感のようなふらつきを伴うこともあります。痛みは強くなると後頭神経痛のような痛みが生じることもあり、さらに血管性頭痛も加わり、脈打つような痛みにもなり、痛みが強いときは吐き気などを伴うこともあります。片頭痛の傾向がある人に、緊張型頭痛が併存して、混合型頭痛となっていることもあります。

検査・診断

問診の際に、医師に病状を具体的に伝えることが大切です。くも膜下出血など、命にかかわる危険性の高い頭痛であることも考えられるため、場合によってはCT検査やMRI検査を受けます。このほか、血液検査や脳波検査を行うこともあります。

くも膜下出血、脳腫瘍など、命に関係するような病気を見過ごさないように頭部CT検査や疑わしいときはMRI検査を行います。また、頸椎X線が有用です。骨の変化だけでなく、頸椎の直線化、可動性をみることが有用です。適切な診断のためにもっとも大事なことは、姿勢や動き方を含めた生活の仕方をよく医師に伝えることです。

治療

緊張型頭痛は、前傾姿勢や動き方(左右で異なる使い方、持ち方など)、寝ているときの姿勢など、からだを動かすことが少ない、精神的なストレスが多いなど、生活の仕方が強く関係するので、これらの改善が大事です。筋トレではなくストレッチを中心にからだを動かすことが有効です。 

薬物の併用も有用で、筋緊張を軽減させるのに葛根湯(かっこんとう)などの漢方薬、筋弛緩薬を使うことがあります。症状にあわせて睡眠薬、安定剤、抗めまい剤、鎮痛剤、抗うつ剤、湿布などが使われます。

セルフケア

療養中

蒸しタオルやマッサージなどで頭部を温めて、血行をよくし、首回りや肩の緊張をほぐしましょう。ぬるめの湯にゆったりとつかるのも効果的です。

予防

長時間同じ姿勢をつづけることは避け、仕事の合間にストレッチをしたりしましょう。ウォーキングなどの軽い運動や、十分な睡眠を習慣化することが大切です。

精神的なストレスが原因の場合、生活のリズムを整え、環境の改善などを試みてみましょう。

監修

昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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