頭痛
ずつう

最終編集日:2022/1/11

概要

頭痛にはさまざまな種類があります。大別すると、明確な基礎疾患がないのに慢性的に現れる「一次性頭痛」(慢性頭痛)と、何らかの病気が原因でひきおこされる「二次性頭痛」の2つに分類されます。

一次性頭痛には、おもにこめかみから頭にかけて、脈を打つような痛みを感じる「片頭痛」、首回りや肩凝りなど筋肉の緊張から起こる「緊張型頭痛」、1カ月ほど、毎日ほぼ同じような時間に片側の目の奥に激痛がつづく「群発頭痛」などがあります。

二次性頭痛には、くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫など、見逃すと危険性が高い病気が多くみられます。このほか、かぜや二日酔いが原因の一過性の頭痛もありますがほとんど自然に治ります。

原因

頭痛の種類により原因は異なりますが、一次性頭痛は、はっきりした原因はわからないことがほとんどです。

片頭痛は脳の血管が急激に拡張することで起こります。ストレスや疲労のほか、寝不足、光や音の強い刺激、アルコール、女性ホルモンの変動などが要因とされています。


緊張型頭痛は、肩、首、後頸部の筋肉が緊張することで生じます。パソコン操作で長時間同じ姿勢をとりつづけていたり、精神的・肉体的なストレスをためつづけたりすることで起こりやすいといわれています。


群発頭痛は、頭の血管が拡張することで発症するといわれ、具体的な要因には、血管拡張薬の服用、飲酒、喫煙、気圧の変化などが挙げられます。

症状

片頭痛は、ズキズキと脈を打つような痛みが発生し、時には吐き気も伴います。月に1~2回発症し、からだを動かすと悪化するのも特徴です。目の前にチカチカとした光が見えることもあります。


緊張型頭痛は、頭重感や圧迫感からじわじわと締めつけられるような痛みを感じます。

頭痛が強くなると、後頭部を中心に締めつけられるような痛みが強まり、非回転性のふらつきや吐き気を伴うこともあります。さらに眼球の後ろに痛みを感じる眼球後部痛を伴ったり、後頭神経が過敏になり神経痛のような強い痛みが生じることもあります。


群発頭痛は、片側の前頭部から側頭部にかけて、ガンガンとした激しい痛みを発し、痛みを感じているほうの目の充血、涙、鼻水などの症状がみられます。群発期といわれる時期には、発作が1日に2〜8回起こり、数日間から3カ月ほど集中してつづきます。睡眠中に発生する場合が多く、激しい頭痛で目覚めます。発作は半年から3年おきくらいで約10年にわたって発症します。


二次性頭痛の場合、疑われる原因疾患により、症状は異なります。また、それぞれの頭痛の病状には個人差があります。

検査・診断

問診の際に、医師に病状を具体的に伝えることが大切です。命にかかわる危険性の高い二次性頭痛であることも考えられるため、場合によってはCT検査やMRI検査を受けます。このほか、血液検査や脳波検査を行うこともあります。

これまで経験したことのないほどの激痛や突発的な頭痛が起こった場合、くも膜下出血なども疑われるので、直ちに医療機関を受診しましょう。

治療

おもに薬を使った治療が行われます。消炎鎮痛薬のほか、漢方薬、筋弛緩薬などが処方されます。またうつ病などから発生した頭痛の場合、抗不安薬や抗うつ薬などが用いられることもあります。


片頭痛と群発頭痛については、専用薬が登場し、高い効果があるといわれています。群発頭痛は、発作時に15分間ほどの酸素吸入をしたり、血管を収縮させる注射を打ったりすることもあります。

近年、痛みを誘発する物質として、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が明らかになり、その働きをブロックする薬剤が登場し、期待されています。

セルフケア

療養中

片頭痛を発症した場合、冷たいタオルを該当部位にあてると、血管が収縮して痛みが和らぎます。逆に温めると血管が拡張し、悪化するので、入浴などは控えましょう。コーヒーや紅茶など、カフェインの入った飲料も血管を収縮する作用があるので効果的です。

緊張型頭痛は蒸しタオルやマッサージなどで温めて、血行をよくし、首回りや肩の緊張をほぐす必要があります。

群発頭痛の場合、発作が起こりやすい期間は飲酒や喫煙は避けることが大事です。気圧の変動にも左右されるため、登山や飛行機の搭乗予定がある人は医師に相談しましょう。

予防

寝不足や寝すぎ、疲労、ストレス、アルコールなどは片頭痛を誘引するので避けましょう。また、チョコレートやチーズ、ヨーグルト、赤ワインなどが片頭痛を誘発する食品といわれています。これらの摂取は控えめにしたほうが無難です。

緊張型頭痛の場合、長時間同じ姿勢をつづけることは避け、仕事の合間にストレッチなどをすることを心がけましょう。

監修

昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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