尿路結石
にょうろけっせき

最終編集日:2023/5/16

概要

腎臓でつくられた尿は、腎杯、腎盂、尿管、膀胱、尿道を通って排出されます。これらの尿の通り道にできた結石が尿路結石です。

結石とは、尿に含まれる物質が結晶をつくり、結合して固まったものです。結石が尿路をふさぐと激しい痛みが生じ、尿が停滞するようになります。長期化すると、腎臓の機能障害や尿路感染をひき起こすこともあるため、早期の治療が必要です。男性は女性よりもかかりやすい傾向にあります。


原因

結石は、尿に含まれるシュウ酸、カルシウム、マグネシウム、尿酸などの成分が一定量以上になって結晶化したものです。尿路結石の約90%はシュウ酸カルシウム結石やリン酸カルシウム結石などのカルシウム成分によるものです。

尿路結石の原因は、すべて解明されているわけではありません。何かひとつの原因で発症するわけではなく、血縁に結石患者がいるなどの体質的要因、動物性たんぱくや動物性脂肪のとりすぎや野菜不足などの食習慣、高尿酸血症や痛風などの病気などが複雑に絡み合って発症すると考えられますが、そのなかでも肥満は重要な危険因子であることがわかっています。


症状

尿路結石は、尿路の上部尿路にできるものと下部尿路にできるものに分類されます。全体の90%以上が上部尿路結石症です。

結石が尿の通り道をふさぐと、肋骨から腰にかけて突然に生じる激しい痛み(疝痛発作)や血尿を伴います。

●上部尿路

腎結石(腎杯結石・腎盂結石)は鈍い痛みを感じることもありますが、ほとんどが無症状で経過します。

尿管結石では腎結石が尿の流れに沿って尿管内に落ちて詰まり、尿の流れが滞って腎盂内圧力が急激に上昇します。このため疝痛発作が起こります。一部には腎盂腎炎を併発し、38~40℃の発熱がみられることもあります。

●下部尿路

膀胱結石は、多くは排尿障害による尿路感染症によって結石がつくられるため、頻尿や残尿などがあります。

尿道結石は、膀胱結石が排尿とともに尿道にはまり込んで詰まったもので、排尿時に痛みを伴ったり尿が出せなくなったりします。発症率は圧倒的に男性に高い傾向にあります。


尿路結石
尿路結石

検査・診断

検査では、結石の大きさや位置、腎臓の状態などを確認する必要があります。

触診のほか、尿検査で血尿や尿路感染症の有無を確認し、血液検査で腎機能に障害がないかを検査します。

また自然に排出した結石の成分を分析して、治療法選択の指針とすることもあります。

ほかに腹部超音波検査(エコー)、腹部X線検査、CT検査、などを行うこともあります。CT検査は結石の大きさと位置を正確に把握できる有効な検査法です。


治療

尿路結石に対する治療は、結石の大きさや位置、症状によって異なります。

疝痛などの痛みがある場合には、非ステロイド系抗炎症薬のおもに座薬が処方されます。

また直径5mmまでの結石は自然に排出される可能性があるので、結石を排出するために水分の摂取、運動、服薬などが指導されます。

自然排石が困難と判断される場合は、外科的処置が行われます。

現在、開腹手術による結石の摘除が行われることはほとんどなく、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、内視鏡下結石破砕術(TUL)、経皮的破砕術(PNL)などが主流となっています。


セルフケア

病後

尿路結石の患者の2人に1人は5年以内に再発するという報告があります。生活習慣や食生活を見直して体質改善を行い、再発を予防しましょう。

●こまめな水分補給

カフェインや糖分を含まない水や麦茶などを、1日2L以上たっぷり飲みましょう。

●バランスのよい食生活

塩分や糖分、脂肪分の多い食品は控えましょう。ほうれん草やチョコレート、レバー、飲み物ではビール、紅茶などは結石をつくりやすいとされています。食物繊維を多くとり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの摂取を心がけます。

●就寝前の習慣づけ

結石は就寝中にできやすいので、就寝前の3時間は固形物をとらないようにします。

夕食の量を控えめにして、寝る前にコップ1杯程度の水を飲みましょう。


監修

なかむらそうクリニック 院長

中村聡

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