水腎症

すいじんしょう

最終編集日:2023/10/27

概要

腎臓でつくられた尿の通り道(腎盂〈じんう〉-尿管-膀胱-尿道)に通過障害が起こり、尿がたまって、腎臓や尿の経路が拡張した状態を指します。尿路の閉塞によって起こることがあるため「閉塞性腎症」の一症状として捉えられることもあります。

子どもに発症する先天性のものと、おもに成人に発症する後天性のものに分けられます。

原因

先天性のものは、腎臓や尿路のどこかに形態的な異常や機能低下のあることが原因になります。狭窄がもっとも起こりやすいのは、腎盂(じんう)と尿管のつなぎ目にあたる「腎盂尿管移行部」です。なぜ起こるかは現時点では不明です。

成人してからの後天性のものでは、尿路結石や尿路の腫瘍、前立腺肥大症前立腺がん、神経因性膀胱(糖尿病、脳血管障害など)、後腹膜腫瘍などが原因で、尿路に狭窄や閉塞が起きて、水腎症を発症します。

(左)正常な腎臓と尿路。(右)水腎症
(左)正常な腎臓と尿路。(右)水腎症

症状

尿路結石などが原因で急性に起こる場合には、水腎症を起こしている側(患側)の腰痛、背中やわき腹の激痛が起こります。乏尿(排尿量が少ない)が起こり、発熱や悪心・嘔吐を伴うこともあります。

尿路の狭窄が徐々に起きた場合には、ある程度進行してから、患側の腰や背中の鈍痛、腹部のしこりなどがみられます。

検査・診断

超音波(エコー)検査が診断に有用とされています。尿検査で血尿や膿尿などのチェックを行い、血液検査で腎機能や炎症反応、電解質異常などをみます。肋骨脊柱角(肋骨の下辺りの背骨の近く)に叩打痛(たたくと響くような痛み)がみられるのが特徴的です。

CTやMRIなどの画像検査で、尿路の狭窄や閉塞の評価を行いますが、原因特定のために、尿路内視鏡検査や逆行性腎盂造影、排尿時膀胱造影、腎シンチグラム(利尿レノグラム)を併用することもあります。

発熱を伴う場合には、急性腎盂腎炎の併発を疑います。なお、水腎症が両側に起きていたり、既往病によって片方の腎臓を切除している場合には、腎不全のリスクが高くなるため、速やかな診断・治療が必要になります。

先天的な水腎症の場合、最近では出生前の超音波検査で発見されるケースが増えています。

治療

先天性か後天性か、水腎症の重症度、尿路の狭窄・閉塞の程度によって、治療法は異なります。


●先天性

症状がなく、腎機能が悪くない場合は、経過観察を行います。自然に改善される場合も少なくありません。症状がある場合や、尿の逆流がみられる場合、腎機能が低下している場合、尿路が閉塞している場合には「腎盂形成術」などの手術を行います。年齢や狭窄・閉塞の状態にあわせて、内視鏡や腹腔鏡を用いて行われます。また、2020年4月より、保険診療で施行可能となったロボット支援下での腎盂形成術を行っている医療機関もあります。


●後天性

原因疾患の治療を優先します。原因が改善されず、尿路の狭窄や閉塞の解除が困難な場合には、尿管にステントを留置したり、経皮的腎瘻造設(けいひてきじんろうぞうせつ:背中から腎臓にカテーテルを挿入して尿を排出させる)が必要になることもあります。

セルフケア

療養中

先天性水腎症の約80%は自然によくなるといわれています。しかし水腎症の程度によって、また腎機能が低下する場合や、尿路感染、腹痛、血尿などの症状がある場合は、早急な処置や手術を要することがあります。

予防

長期間にわたって水腎症の状態がつづくと、腎機能障害をきたし、腎臓へのダメージが残ることになるため、画像検査で水腎症の疑いを指摘された場合は、必ず専門科(泌尿器科)を受診しましょう。

監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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