頻尿
最終編集日:2024/1/19
概要
1日の排尿の回数には個人差がありますが、朝起きてから、夜寝るまでにトイレに行く回数が8回以上である場合には「頻尿」と判断されます。頻尿となる原因には過活動膀胱、残尿、多尿、尿路感染症、腫瘍、心因性などがあります。
●膀胱粘膜が刺激される
膀胱炎などの疾患によって膀胱粘膜に炎症が起きている、前立腺肥大症や前立腺がんなどによって膀胱の出口が圧迫されている、結石が尿管下部や膀胱内にある、などのケースがこれにあたります。そのほか、ストレスや冷えが原因で膀胱粘膜が刺激を受ける神経性頻尿や、抗アレルギー剤や抗がん剤、放射線治療などの副作用によって頻尿が起こることもあります。
●膀胱内に尿が残っている
排尿後も膀胱のなかに尿が残っている(残尿)と、すぐにまた膀胱がいっぱいになってトイレに行きたくなります。膀胱内に尿が残る症状は前立腺肥大症や前立腺がん、糖尿病などが進行したときによくみられる症状で、重度の場合には尿があふれ出て失禁(溢流性尿失禁)したり、尿閉になることもあります。
また、尿道が狭くなることによって尿が出にくくなる尿道狭窄でも、残尿による頻尿の症状が現れます。
●膀胱に関連する神経が障害を受けている
背中のけがや腹部の手術、脳卒中などが原因で膀胱の働きを調節する神経が障害を受けると、排尿を正常にコントロールすることができなくなります。これを「神経因性膀胱」といい、頻尿のほか、排尿困難や尿失禁などの症状がみられることもあります。
●加齢により骨盤底筋が弱っている
子宮や膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなるために起こる頻尿で、40歳以上の女性に多くみられる過活動膀胱もこのひとつです。
受診の目安
救急車を呼ぶ・ただちに医療機関を受診
・下腹部に激しい痛みがある
・血尿が出ている
・尿が出ない
医療機関を受診
・排尿時に痛みがある
・尿が濁っている
・尿を我慢できずに失禁することがある
・下腹部が重苦しい
・尿が出にくい
・尿の勢いが弱い
様子をみる
・頻尿になる前に大量の水分をとった
・1日の排尿量を測ったら2000mL以上あった
セルフケア
飲水量が多いために排尿回数が増えているという生理的な反応であることに気づかずに、頻尿に悩むケースが高齢者に多くみられます。血液をサラサラにするために水分をとらなければと意識するあまりに飲水量が増えていることも多く、その場合には排尿量をチェックする必要があります。1日2000mL以上の排尿量がある場合は、水分のとりすぎです。
考えられる病気
監修
昭和大学病院 泌尿器科 講師
前田佳子
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