腹膜播種
ふくまくはしゅ

最終編集日:2021/12/21

概要

腹膜播種とは腹部にある臓器を覆っている腹膜に発症するがんのことで、無数のがん細胞が腹腔内に散らばった状態です。

胃、腸、肝臓、子宮など腹腔内にある臓器のがんが進行して末期に至ったときや、これらの臓器のがんの腹膜への転移、再発時などにみられる症状です。しばしば炎症を伴い、腹水がたまり、がん性腹膜炎と呼ばれる状態になります。

原因となったがんに効果が期待できる薬を使った治療が行われます。また栄養の吸収や呼吸をサポートするための対症療法として、輸血、酸素投与、腹水穿刺などが行われますが、予後は非常に悪い状態です。

原因

胃、腸、肝臓、子宮など腹腔内にある臓器のがん細胞が、腹腔内に散らばって転移することがおもな発症原因です。


症状

すでに発症しているがんからの転移が多いため、発見時には末期がんであるケースが多くみられます。

おもな症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、腹部の張り、息苦しさ、食欲低下、体重減少などです。栄養の吸収や呼吸に大きな障害が出るため、短期間で死に至ることも多いです。

検査・診断

腹部の超音波検査やCT検査などの画像検査で、腹水のたまり具合などを確認します。さらに腹水中のがん細胞の有無を確認するため、腹部に穿刺して腹水を採取し、顕微鏡による検査を行います。

治療

一般に、原因となった各臓器のがんに対する治療(化学療法など)が優先して行われます。

腹膜播種に対して手術などを行うケースは少なく、痛みをやわらげるための鎮痛薬の投与や、腹水がたまって腹部が張る状態を緩和するため、腹部に針を刺してたまった水を抜く処置(腹水穿刺)などが行われます。

腹腔内に散らばったがん細胞をすべて摘出するのは大変むずかしいため、こうした対症療法で症状を軽減させる治療を行うケースがほとんどです。

セルフケア

療養中

がん性腹膜炎を発症するときには末期がんであることが多いため残された時間をどのように過ごすか、最期のときをどう迎えるかなどに対する患者への精神的なケアが重要になります。ホスピスへの入院なども選択のひとつです。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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