スキルス胃がん

すきるすいがん

最終編集日:2023/3/29

概要

スキルス胃がん(4型胃がん)は、胃の組織に深く浸潤する(しみ込むように広がる)のが特徴で、まとまった形をなさないびまん浸潤型に分類されます。がんの浸潤がある胃壁は徐々に硬く、厚くなっていきます。胃がんのなかでも進行が速く、悪性で難治性とされています。胃内視鏡検査で見つけにくく、診断されたときにはすでに進行期で転移があるというケースも少なくありません。胃がんの約7%、進行胃がんの約15%がスキルス胃がんといわれ、20~30代の若い世代にも発症します。

原因

スキルス胃がんもほかの胃がんと同じようにピロリ菌感染との関連があるという説もありますが、明らかな原因はまだわかっていません。関連遺伝子の研究が進められています。

症状

初期には、ほかの胃炎や胃潰瘍、胃がんと同じような、食欲低下、胃もたれ、胸やけ、みぞおちの痛みなどが現れることもあります。進行すると、胃の痛み、嘔吐、食欲不振、倦怠感、下血(黒色便)、嚥下障害、体重減少などがみられます。

検査・診断

スキルス胃がんは、例えばポリープ状に盛り上がったり、突出したりする病変がないため、内視鏡検査で見つけることは難しいとされていました。しかし、色調の変化、胃壁伸展の不良、巨大なひだなどの特徴的所見から内視鏡検査でも診断が可能になっています。バリウムを用いたX線検査や、CT検査などで胃表面のひだの様子や胃壁の厚さなどを調べ、さらに内視鏡も用いて生検を行って確定診断します。

転移の有無をみるために、CT検査やPET検査も併用します。

治療

スキルス胃がんに特化した治療法は確立されておらず、ほかの胃がんに準じた治療が行われます。手術が可能な場合は、胃摘出手術とリンパ節郭清手術が基本となります。

スキルス胃がんは比較的早い段階から腹膜播種(おなかの臓器を包む腹膜にがん細胞が種をまいたように転移する状態)が起こるのが特徴です。腹膜播種の診断として、画像検査と、細胞レベルでの播種を調べる腹腔洗浄細胞診検査(腹腔内を生理食塩水で洗浄し、その洗浄液を回収してがん細胞の有無をみる)が行われます。

腹膜播種がなく細胞診が陰性なら、胃切除+術後補助化学療法(抗がん剤治療)を行います。腹膜播種がなく細胞診が陽性の場合は、胃切除+術後補助化学療法、あるいは術前化学療法+胃切除、または化学療法のみから患者さんの状態にあわせて治療法を選択します。腹膜播種がある場合は化学療法を行います。

現在、腹膜播種を抑制するための、腹膜に直接抗がん剤を注入する腹腔内化学療法の治験が進められています。また、腹膜播種がなくて胃切除+術後補助化学療法ができた場合でも、腹膜に再発するリスクが高いのも特徴で、慎重に経過観察がつづけられます。

セルフケア

予防

スキルス胃がんの発症にはピロリ菌のほか、喫煙、女性ホルモンの関与などが報告されています。比較的若年者にも発症することがあり、注意が必要です。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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