スキルス胃がん
すきるすいがん

最終編集日:2025/12/21

概要

スキルス胃がん(4型胃がん)は、胃壁の深部へびまん性に浸潤する(しみ込むように広がる)のが特徴で、明確な腫瘤を形成しないびまん浸潤型に分類されます。がんが浸潤した胃壁は徐々に硬く、厚くなっていきます。胃がんのなかでも進行が速く、治療がむずかしいタイプとされており、胃内視鏡検査では病変が目立ちにくいため、診断時にはすでに進行期で転移があるというケースも少なくありません。スキルス胃がんは、胃がん全体の約5〜10%、進行胃がんの約10~20%を占めるとされ、20~30代の若い世代にも発症することが知られています。

原因

明らかな原因はわかっていません。一般的な胃がんと同じようにピロリ菌感染との関連が指摘される一方、スキルス胃がんではピロリ菌陰性例も少なくなく、関連遺伝子の研究が進められています。

症状

初期には、ほかの胃炎や胃潰瘍、胃がんと同様に、食欲低下、胃もたれ、胸やけ、みぞおちの痛みなどが現れることもあります。進行すると、胃の痛み、嘔吐、食欲不振、倦怠感、下血(黒色便)、嚥下障害、体重減少などがみられます。

検査・診断

明らかな隆起性(盛り上がった)病変を形成しないため、診断は依然としてむずかしいものの、色調の変化、胃壁伸展の不良、巨大なひだなどの特徴的所見を手がかりに、診断に至るケースもあります。バリウムを用いたX線検査や、CT検査などで胃の表面のひだの様子や胃壁の肥厚などを評価します。さらに内視鏡検査を行い、病変部から組織を採取して病理検査を行います。また、がんの広がりや遠隔転移の有無を確認するために、CT検査を中心に、必要に応じて超音波内視鏡検査やPET検査などの画像検査も併用します。

治療

スキルス胃がんに特化した治療法は現時点では確立されておらず、ほかの胃がんに準じた治療が行われます。手術が可能な場合は、胃切除術とリンパ節郭清を組み合わせた手術が基本となります。

スキルス胃がんは比較的早い段階から腹膜播種(おなかの臓器を包む腹膜にがん細胞が散布・転移する状態)を起こしやすいのが特徴です。そのため腹膜播種の診断として、CTなどの画像検査に加え、細胞レベルでの播種を調べる腹腔洗浄細胞診検査(腹腔内を生理食塩水で洗浄し、その洗浄液を回収してがん細胞の有無をみる)が行われます。

腹膜播種がなく細胞診が陰性なら、胃切除術と術後補助化学療法(抗がん剤治療)を行います。一方細胞診が陽性の場合は、画像上明らかな腹膜播種が認められなくても、全身化学療法が基本治療となります。

現在、腹膜播種を抑制するための、腹膜内に直接抗がん剤を注入する腹腔内化学療法の治験が進められていますが、現時点では標準治療ではなく、研究段階の治療として位置づけられています。また、腹膜播種が認められず、胃切除術と術後補助化学療法を行えた場合でも、腹膜に再発するリスクが高いのもスキルス胃がんの特徴であり、治療後も慎重な経過観察が必要です。

セルフケア

予防

発症にはピロリ菌のほか、喫煙や女性ホルモンとの関連が指摘されていますが、確立した予防法はありません。

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監修

わだ内科・胃と腸クリニック

和田蔵人