肛門がん

こうもんがん

最終編集日:2022/1/11

概要

肛門がんは、肛門に発生する比較的めずらしいがんです。肛門管のなかから発生した管内型と肛門管の外で発生した管外型に分けられます。日本で多いのは直腸がんが肛門管に広がったタイプで、直腸がんに準じた治療が行われます。一方、欧米で多いタイプは扁平(へんぺい)上皮がんです。扁平上皮がんには、手術療法や化学療法、放射線療法などを組みあわせた集学的治療を行います。

肛門がんを発症するのは50歳以上の人がほとんどで、男女差はありません。

原因

肛門がんの原因はまだ明確にされていませんが、扁平上皮がんなど一部のがんでは、ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスへの感染が発症リスクを高めるとされています。ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因ウイルスとして知られていますが、肛門性交を通じ、このウイルスに感染すると肛門がんになる危険性が高まります。また、痔瘻(じろう)との関連も指摘されています。長期にわたって患っている痔瘻や尖圭コンジローマががん化してしまうこともあります。喫煙はがん発症のリスクを高めるといわれていますが、肛門がんに関しても例外ではありません。

症状

肛門がんを発症しても約2割の人は無症状です。症状がある場合には、肛門周辺にしこりができます。しこりは出血しやすく、排便時に出血したり痛みを感じたりすることがあります。そのほか、肛門周囲にかゆみを感じる、排便がしづらくなる、便が細くなるなどの症状が出る場合もあります。また、慢性的な痔瘻に関連して発症する肛門がんもあり、その場合には、肛門からうみや悪臭を伴う粘液が出てきます。

検査・診断

まず肛門周囲の異常の有無を視診や触診で確認します。よりくわしく観察するために、直腸鏡や肛門鏡と呼ばれる器具を用いることもあります。肛門がんにはいくつものタイプがあり、どのタイプのがんなのかを正確に診断するため、病変の一部を採取して顕微鏡で調べる病理検査を行います。がんの診断がついたら超音波検査やCT検査、MRI検査などを必要に応じて行い、がんの進行具合などを調べ、治療方針を決定します。

治療

肛門がんの治療は、がんの種類や広がりなどによって異なります。治療法には手術によって患部を摘出する手術療法(外科的切除法)と放射線療法、化学療法があります。通常は、放射線療法と化学療法を組みあわせた治療を最初に行います。がんの広がり具合によっては手術療法となります。がんが小さければ、患部を部分的に切除したうえで放射線療法を併用します。進行がんの場合には肛門を切除し、人工肛門をつくることもありますが、多くの場合にはその必要はありません。

セルフケア

予防

痔瘻がある人は、放っておくとがん化してしまう危険性が高くなります。なるべく早く治療して完治させるようにしてください。排便時の出血や肛門周辺のかゆみなど何らかの症状を自覚していても痔か湿疹だろうと思いこみ、発見が遅れるケースも少なくありません。自己判断せずに、専門医を受診するのが大切です。

監修

寺下医学事務所 医学博士

寺下謙三

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