胃悪性リンパ腫

いあくせいりんぱしゅ

最終編集日:2023/9/20

概要

悪性リンパ腫は白血球の一部である「リンパ球」が、がん化する病気です。リンパ節やリンパ組織(扁桃腺や脾臓など)だけでなく、胃や腸、甲状腺、骨髄などにも発生します。胃に発症する胃悪性リンパ腫にはいくつかの種類があり、胃MALTリンパ腫(約40%)、胃びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL:45~50%)で大部分を占めます。

いずれも60代前後の発症が多いとされています。胃MALTリンパ腫は悪性度が低いとされる一方、DLBCLは胃の漿膜(しょうまく)を越えて周囲の臓器に浸潤(染み込むように広がる)を起こしやすく、悪性度が高いと考えられています。

原因

胃MALTリンパ腫罹患者の約80%にピロリ菌感染がみられることから、発症にピロリ菌の関与が考えられています。

DLBCLのなかには、ピロリ菌感染との関連が考えられるものや、胃MALTリンパ腫からの移行例、EB(エプスタイン・バール)ウイルス感染との関連が指摘されるものもありますが、まだ原因は明らかになっていません。

症状

腫瘍が小さい場合、無症状なことが多く、胃の内視鏡検査や胃がん検診などで偶然見つかることがほとんどです。腫瘍が進行すると、胃の不快感、食欲不振、吐き気・嘔吐、胃痛などが現れることがあります。さらに腫瘍からの出血が起こると、吐血や下血がみられることがあります。

検査・診断

上部消化管内視鏡検査、CT検査、MRI検査、超音波(エコー)検査、上部消化管造影X線検査、超音波内視鏡検査(EUS)などの画像検査を行い、腫瘍を精査します。

確定診断には、腫瘍の組織を採取して調べる生検病理検査が必要になります。粘膜下の病変に対しては、超音波内視鏡下穿刺吸引針生検(EUS-FNAB)が行われます。EUS-FNABは、先端に超音波装置のついた内視鏡による画像を見ながら、注射針ほどの太さの針を刺して細胞を採取する方法で、粘膜下にある腫瘍からも確実に安全に細胞を採取できます。

治療

胃MALTリンパ腫では、まずピロリ菌の除菌療法を行います。ピロリ菌除菌療法で60~80%に完全寛解が得られるとされています。除菌効果がみられないものや進行例に対しては、放射線療法や分子標的薬(リツキシマブ)の単剤投与、あるいは抗がん剤の併用療法(R-CHOP)が行われます。

DLBCLは、胃MALTリンパ腫と同じ治療が行われますが、大量出血や穿孔(胃の組織に穴が開く)などでは手術が考慮されることもあります。

一般的に、胃悪性リンパ腫の手術は腫瘍の広がりを把握するのがむずかしいことや、多発発生のケースもあるため、胃全摘術が行われます。

セルフケア

予防

胃MALTリンパ腫では、ピロリ菌感染が原因となることがわかっています。ピロリ菌感染は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎や胃がんの原因にもなります。検診などで感染の有無を確認し、感染している場合は除菌治療を受けましょう。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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