胆管がんたんかんがん
最終編集日:2024/3/29
概要
肝臓と十二指腸をつなぐ道筋を「胆道」と呼び、胆汁の通り道になっています。胆道は肝内胆管、肝外胆管、胆嚢、十二指腸乳頭からなり、肝外胆管は肝門部領域胆管と遠位胆管に分けられます。胆管がんは胆道のうち、胆嚢を除く部分に発生するがんで、年間、約1万4500人が発症しています。好発年齢は60代以降で、2対1の割合で男性に多くみられます。
原因
原発性硬化性胆管炎、原発性肝内結石症、膵・胆管合流異常(膵管と胆管の合流部分の先天的な異常)があると、胆管がんの高リスク群とされています。肝内胆管がんでは肝炎ウイルス感染が関係するとの報告もあります。そのほか、印刷関係で有機溶媒として使用する化学物質であるジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパンに触れる機会が多い職業の人でリスクが高いといわれます。
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症状
胆管狭窄や閉塞が起こり、黄疸(おうだん)が現れます。そのほか腹痛、右上腹部のしこり、吐き気・嘔吐などがみられることもありますが、無症状の場合も少なくありません。
検査・診断
血液検査でビリルビンやALP、γ-GTPなどの肝・胆道系の酵素の異常を探ります。あわせて腫瘍マーカー(CA19-9、CEA)を測定します。
画像検査として腹部超音波(エコー)検査、CT検査のほかに、MRI検査で胆管と膵管を描出するMRCP検査が有用です。さらに内視鏡を用いた超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)で、がんのある位置、大きさ、広がり、胆管の状態(狭窄・閉塞など)、肝臓、十二指腸乳頭部(胆管・膵管と十二指腸のつなぎめ)の様子などを精査します。
胆管がんでは病変部の組織の採取がむずかしいことが多いため、一般的に画像検査で診断がなされます。遠隔転移が疑われる場合には、PET検査を行います。ほかの胆管炎との鑑別が、また肝内胆管がんではほかの肝腫瘍との鑑別が重要です。
治療
治療の基本は病巣部の切除です。胆管がんの多くはある程度進行した形で発見されるため、手術ではリンパ節、肝動脈、門脈、肝臓の一部、膵臓の一部、胃の一部など、広範囲に切除する場合が少なくありません。患者さんの全身状態によって手術ができない場合には、複数の抗がん剤を用いた化学療法が行われます。
胆管の狭窄・閉鎖が起きている場合には、胆管内の圧を下げるために、また黄疸の改善のために「胆管ドレナージ」を行います。内視鏡下に詰まっている胆管にチューブやステントを挿入・留置して胆汁を排液するもので、鼻から外に出す方法(ENBD)と、腸内に出す方法(EBS)があります。患者さんの全身状態などで内視鏡での施術が困難な場合は、経皮的に行われます(PTBD)。PTBDではからだの外から皮膚を通してチューブを挿入・留置します。腹部超音波検査を行い、拡張している肝内胆管に針を刺し、チューブを挿入します。
放射線療法はおもに症状緩和と進行を遅らせる目的で行われます。
また、肝内胆管がんは再発率が高く、術後も経過観察をつづける必要があります。
セルフケア
予防
胆管がんは原因がわからない部分も多く、効果のある予防法を挙げることは困難です。気になる症状があったら、早めに医師に相談することが肝要です。また、胆石症やウイルス性肝炎がある場合は、肝機能などの検査値に異常が出るので医師の指示に従って定期的に検査を受けましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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