ヘバーデン結節へばーでんけっせつ
最終編集日:2024/6/17
概要
手の人差し指から小指の、指先に近い第一関節(遠位指節間関節:DIP関節)に変形が起こる病気です。母指(親指)にもみられることがあります。変形性関節症のひとつです。加齢とともに関節の軟骨が少なくなり、骨同士の摩擦が強くなって、隆起して結節ができたり、炎症が生じて痛みを伴ったりします。
40代以上の女性に好発します。加齢とともに患者数は増加し、症状がないものも含めれば、80代ではほぼ100%の人に起きているといわれます。疼痛などの症状を現すものは、40代以上の約10%の人にみられるとされています。
原因
まだ明らかになっていません。遺伝的な要因が約6割、環境的な要因が約4割と考えられています。手指を多く使う、高尿酸血症(痛風)、肥満などがリスク因子として挙げられます。
症状
指先の関節が腫れて曲がり(変形)、動かしにくくなります。動作時の痛みや、安静時の痛みがみられることもあります。また、関節の近くに透き通った水ぶくれのような病変(粘液嚢腫)が現れることもあります。
検査・診断
問診と視診、X線検査で診断がつけられます。手指の変形や痛みが起こる関節リウマチなどとの鑑別が必要です。
治療
まず保存療法を行います。テーピングやスプリントで関節を固定し、痛みがある場合は消炎鎮痛薬の外用薬(湿布、軟膏)を用います。痛みが強いときには、消炎鎮痛薬の内服、ステロイドの関節内注射が行われます。
保存療法で効果がみられない場合には、手術を考慮します。
手術は通常、関節部の軟骨や骨棘(こつきょく:骨のかけら。痛みの原因となる)を除去し、スクリュー(医療用のネジ)を植え込んで関節が動かないように固定します。最近は、できるかぎり手術前の残存した可動域を温存する方法や、審美的に優れた方法などを実施する医療機関も増えています。
粘液嚢腫を伴うケースでは、早めに手術をすすめられることがあります。粘液嚢腫は関節とつながっているため、嚢腫の上部の皮膚が傷ついて感染を起こすと、関節にも感染が広がって状態が悪化するリスクが高いためです。
セルフケア
予防
痛みがあるときには動かさないようにすると症状が緩和されます。固定バンドやテーピングなどを用いて関節に負担をかけないようにしましょう。日常生活では指だけを使うのではなく、例えば何かを握ったり持ったりするときには手全体を使うように心がけましょう。
ペットボトルのキャップの開け閉めなどは補助具(オープナー)などを使うとよいでしょう。痛くないときには無理のない範囲で、できるだけふつうに動かして関節のこわばりを予防しましょう。
監修
東馬込しば整形外科院長
柴伸昌
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