腹膜播種ふくまくはしゅ
最終編集日:2025/12/19
概要
腹膜播種とは腹部にある臓器を覆う「腹膜」にがん細胞が多数散らばり、腹腔内(お腹の中の空間)に広がった状態を指します。
胃がん、大腸がん、膵臓がん、卵巣がんなど腹腔内の臓器の進行がんに伴って生じることが多く、再発や転移の一つの形態です。腹膜に炎症が生じ、腹水(がん性腹水)がたまると「がん性腹膜炎」と呼ばれます。一般的に病状は進行しており、治療は困難なことが多いです。
原因
腹膜播種は、原発となるがんの細胞が腹膜の表面に剥がれ落ち、腹腔内に散布されて定着・増殖することで発症します。主な原因疾患は胃がん・大腸がん・膵臓がん・卵巣がんなどで、手術後の再発としてみられることもあります。
症状
進行がんの段階で見つかることも多く、おもな症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、腹部の張り、息苦しさ、食欲低下、体重減少などです。消化や栄養の吸収、呼吸に大きな障害が出るため、短期間で全身の衰弱が進む場合もあります。
検査・診断
主に画像検査と腹水検査で診断を行います。
・画像検査:腹部の超音波検査やCT検査で、腹水や腹膜の肥厚、結節を確認します。
・腹水検査:腹水中のがん細胞の有無を確認するため、腹部を穿刺して腹水を採取し、細胞診(顕微鏡による検査)を行います。
必要に応じてPET-CTや腹腔鏡検査が行われることもあります。
治療
一般に、原因となった各臓器のがんに対する治療(化学療法など)が優先して行われます。
手術による完全切除は難しいことが多く、症状の緩和を目的とした治療が行われます。
痛みをやわらげるための鎮痛薬の投与や、腹水がたまって腹部が張る状態を緩和するため、腹部に針を刺してたまった水を抜く処置(腹水穿刺)などが行われます。
セルフケア
療養中
がん性腹膜炎を伴う場合は病状が進行しており、残された時間をどのように過ごすかも大切です。症状の緩和や生活の質を重視した緩和ケア・ホスピスへの入院なども選択肢のひとつです。
監修
わだ内科・胃と腸クリニック
和田蔵人