肩関節周囲炎(五十肩)

かたかんせつしゅういえん・ごじゅうかた

最終編集日:2022/5/13

概要

いわゆる「五十肩」のことで、中高年が発症する原因が明確でない肩関節の炎症を総称して肩関節周囲炎といいます。中年以降、とくに50代の患者が多いことから、このような通称になっていますが、四十肩と呼ばれることもあります。

服の着脱や、高いところの物を取るなど、生活のさまざまな動作で肩関節に痛みを感じるようになります。不意な動きで激痛が走り、夜中寝ているときに痛むこともあります。拘縮(こうしゅく:肩関節の可動域が小さくなること)を伴うのが特徴で、症状が悪化すると肩関節がほとんど動かなくなって生活に支障が出ます。多くは自然に回復しますが、改善には時間がかかります。


原因

肩関節周囲炎は、肩の関節をつくっている骨や軟骨や靱帯、腱などが加齢に伴う変化によって関節周囲組織に炎症を起こし、発症することが多いといわれています。また、血液循環の悪化、ホルモンバランスの乱れなども発症につながると考えられています。

症状

肩関節周囲炎では、ほとんどの人は静かに座っているときや立っているときには痛みを感じませんが、肩を動かすと痛みを感じ、日常生活やスポーツなどで不意に肩を動かされると激しい痛みを感じたり、しびれを感じたりします。なかには静かにしていても、うでにしびれや鈍痛を訴える人もいます。

発症する肩は、利きうでとは関係がなく、左右どちらかの肩に起こり、両方の肩が同時に発症することはほとんどありません。一方で、片方の肩が治った後に、もう片方の肩が発症するケースは少なくありません。

典型的な症状として、動かすときの痛みと肩関節の拘縮(こうしゅく:固まって動かないこと)があります。痛みの強さは人それぞれですが、夜中の激痛で眠れないなどの症状が出る人もいます。一般的には急性期、慢性期、回復期を経て、数カ月で治癒に向かいますが、その期間はさまざまです。


検査・診断

まず、医師が痛みの出ている場所や肩の動きなどから診断します。その際に、腱の断裂や肩の関節の変形、頸椎の疾患、神経性の疾患、骨腫瘍、石灰沈着性腱板炎など、ほかの病気が隠れていないか注意する必要があります。そのため、X線検査を行います。肩関節周囲炎は、X線検査ではとくに異常がないのがひとつの特徴ですが、ほかの疾患の除外のために行われます。そのほか、断面図で確認できるMRI検査や超音波(エコー)検査などを実施することもあります。

自然に治癒することが多いとはいえ、肩関節周囲炎以外の病気を見逃さないためには整形外科を受診して診察を受けるべきです。


治療

肩関節周囲炎の治療は、肩関節の痛みを和らげることと、肩の可動域を改善させ、動きづらさを解消することの2つがポイントです。急性期、慢性期、回復期の症状にあわせ、薬による治療や運動療法、リハビリテーションなどの保存的治療を行います。

●時期にあわせた保存的治療

痛み止めなどの薬を使った治療や温熱療法、運動療法やリハビリなどを総称して、保存的治療といいます。保存的治療の内容は、発症後の時期によって変わります。

・急性期

痛みがもっとも強い時期です。急性期には、肩を少し動かしただけでも強い痛みを感じることがあります。第一に、痛みを感じないようにすることが大切でまずは肩関節を安静にします。痛み止めとして、消炎鎮痛薬を内服したり、炎症を抑える作用のあるステロイド薬やヒアルロン酸製剤などを関節に注射したりする場合もあります。

・慢性期から回復期

徐々に痛みが引いていく時期です。この時期は症状によって温熱療法や運動療法を行います。温熱療法では、ホットパックや入浴などで肩関節を温めて筋肉の緊張をほぐし、血行をよくすることで症状を改善させていきます。運動療法では、肩関節周囲の筋肉の強化や、肩を動かす範囲を少しでも広くするための治療が行われます。うでを振り子のように前後に振る運動なども効果的です。肩関節の可動域が80%程度まで回復するには1年以上かかることも多く、日常的な運動習慣をつけることが大切です。


セルフケア

予防

運動をする習慣をつけ、肩関節を動かすことが予防につながります。肩の可動域を広げ、肩の筋力強化ができるほか、血行の促進にもなります。糖尿病やストレスなども発症リスクのひとつといわれているので、栄養バランスのよい食事をとることや、ストレスによる筋肉の緊張を減らすことなどにも気をつけるとよいでしょう。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴 伸昌

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