慢性副鼻腔炎まんせいふくびくうえん
最終編集日:2022/4/14
概要
慢性副鼻腔炎とは、いわゆる「蓄膿症」のことです。副鼻腔炎は、かぜなどの上気道炎をきっかけに鼻粘膜の炎症が広がり、副鼻腔粘膜へと炎症がおよび、副鼻腔内に膿汁や滲出液がたまる病気です。濃い鼻水や鼻づまり、頭重感などの症状が3カ月以上つづくと慢性副鼻腔炎と診断します。
基本的には薬による治療(薬物療法)が行われますが、改善がみられない場合は手術を行うこともあります。
原因
副鼻腔は鼻腔の周囲にある骨内部の空間の総称です。細菌感染やウイルス感染、気圧の変化、外傷などによって、副鼻腔に膿汁や滲出液がたまり、炎症を起こすことで発症します。
症状
粘り気のある濃い鼻水や鼻づまり、頭痛や頭重感、嗅覚障害などの症状が3カ月以上つづきます。鼻水は粘液性のものや膿性のこともあります。症状はかぜと似ていて、悪くなったりよくなったりをくり返すことが特徴です。また慢性副鼻腔炎には、鼻茸と呼ばれるポリープが高い割合で起こります。
鼻腔や副鼻腔の粘膜が腫れ、狭窄し、鼻づまりのため口呼吸となりやすく、こうした鼻水がのどに流れ込むと後鼻漏(こうびろう)となり、せきやたんをひき起こします。
検査・診断
問診のほか、鼻鏡という鼻の内部を見る器具や内視鏡を使って、鼻茸の有無、鼻汁の量や状態、粘膜の炎症や閉塞の有無などを調べます。内視鏡での観察がむずかしい部位でもあり、X線検査やCT検査といった画像検査も行われます。炎症の確認や治療法の確定のためにCTによる検査が増えています。MRI検査は嚢胞などとの鑑別をするのに有効です。
治療
慢性副鼻腔炎の治療では、まず薬による治療を行います。抗菌作用以外にも、炎症によって増えるサイトカインという物質の産生を抑制する効果があるマクロライド系の抗菌薬を少量ずつ、長期間服用します。また、鼻腔や副鼻腔に薬を直接投与できるエアロゾル療法も有効な治療法の選択肢となっています。
手術では、内視鏡を使って狭窄・閉塞している副鼻腔と鼻の通り道(副鼻腔自然口)を開放し、換気を改善する内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行います。
セルフケア
療養中
急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎に発展してしまった場合は、悪くなったりよくなったりをくり返すため、合併症にも気をつけなければなりません。鼻の病気と思っていたら、中耳炎や呼吸障害を併発していたり、気管支炎や喘息をひき起こしたりと、決して軽んじてはならない病気です。早い段階で耳鼻咽喉科専門医の診察を受けることが必要です。
監修
耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長
大河原大次
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