狭心症きょうしんしょう
最終編集日:2022/2/22
概要
狭心症は虚血性心疾患のひとつで、心臓の冠動脈(心筋に酸素や栄養を供給する血管)が動脈硬化により狭くなり、心筋に十分な血液が送られなくなることで発症します。
運動時にときどき症状が現れる安定狭心症と、運動時、安静時にかかわらずくり返し発作が起こるようになる不安定狭心症(急性冠症候群に含まれることもあり)に分類されます。
通常は発作時の心電図検査でST(5種の波形のうちのひとつ)の低下がみられます。特殊なタイプでは動脈硬化が原因ではなく、冠動脈のけいれんによって起こる冠攣縮性狭心症があり、STは低下しますが発作時に心電図検査で心筋梗塞のようにSTが上昇するものを異型狭心症と呼びます。
原因
狭心症の原因の多くは、動脈硬化です。動脈硬化は老化現象のひとつですが、若年者では冠攣縮で狭心症が起こることもあります。
症状
狭心症の症状は、おもに胸の痛みです。胸の中央部が強く痛んだり、胸部全体が締めつけられるように痛んだりします。運動後や階段の上り下りなど、心臓に負担がかかったときに痛みの症状が出ます。
異型狭心症の場合は、深夜から明け方にかけての安静時に発作的に痛みが出ます。まれに背中や首、顎や歯、左腕の内側の付け根に痛みを感じるケースもあります。
検査・診断
心電図検査、心臓超音波検査(心エコー検査)、血液検査、運動負荷試験、冠動脈造影検査などから必要な検査が選択されます。
治療
狭心症の治療では、食生活をはじめとする生活習慣の改善が求められます。そのうえで、原因の多くを占める動脈硬化の進行を防ぐことを目的とした治療が行われます。
軽症であれば、薬物治療では抗血小板薬を用いて血液をサラサラにする治療を行います。同時に、狭心症や心筋梗塞のリスクを高める高血圧、高血糖、脂質異常、肥満の改善も行われます。
狭窄が進んでいる場合は、冠動脈カテーテル治療、より重症化している場合は、冠動脈バイパス治療を行うことがあります。
冠攣縮性狭心症の場合は、薬物療法が一般的です。血管を広げて血流をよくするカルシウム拮抗薬、硝酸薬(ニトロ製剤)などを用いて発作を予防します。
セルフケア
予防
動脈硬化を起こさせない、進行させないことが肝心です。
塩分や脂肪分を抑えたバランスのよい食事、軽く汗をかく程度の運動、疲労やストレスの軽減、禁煙、節酒、寒冷や急激な寒暖差を防ぐ工夫をするなど、日常生活でできることから始めましょう。
また、狭心症は心臓に負担のかかる運動時や階段を上っているときに発症しやすいため、こうしたときに胸部に痛みを感じる場合は狭心症の可能性があります。
胸部に異常を感じたら早期発見、早期治療のため医療機関で診察を受けるようにしましょう。
監修
小田原循環器病院 循環器内科院長
杉薫
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