狭心症
きょうしんしょう

最終編集日:2025/12/23

概要

狭心症は虚血性心疾患のひとつで、心臓の冠動脈(心筋に酸素や栄養を供給する血管)が動脈硬化により狭くなり、心筋に十分な血液が送られなくなることで発症します。

数カ月前から階段昇降時などの一定の労作で症状が現れる「安定狭心症」と、運動時、安静時にかかわらず、繰り返し発作が起こるようになる「不安定狭心症」(急性冠症候群の一種)に分類されます。特殊なタイプとしては、動脈硬化が原因ではなく、冠動脈のけいれんによって起こる「冠攣縮性狭心症」があります。これは朝方の安静時に発作が起きます。

原因

狭心症の原因の多くは、冠動脈といわれる心臓の血管の動脈硬化です。動脈硬化は老化現象のひとつですが、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病、喫煙といった生活習慣病が大きく関与します。若年者では冠攣縮で狭心症が起こることもあります。

狭心症,心筋梗塞
狭心症

症状

狭心症の症状は、おもに胸の痛みです。ただし「胸痛」とよく言いますが、実際には痛みというより、胸の中央部の圧迫感や胸部全体、時には左肩や上顎にまで及ぶ締めつけられるような感覚と表現されることが多いです。運動後や階段の上り下りなど、心臓に負担がかかったときに症状が現れます。胃の症状と間違われることがあるため注意が必要です。

冠攣縮性狭心症の場合は、深夜から明け方にかけての安静時に発作的に痛みが出ます。


検査・診断

運動負荷心電図検査、心臓超音波検査(心エコー検査)、血液検査、運動負荷シンチグラフィー(核医学検査)、冠動脈造影検査などから、必要な検査が選択されます。最近では、心臓CTと呼ばれる、造影剤を使用したCT(断層撮影)によって冠動脈を直接評価する方法が、多くの施設でまず行われています。なお、狭心症は安静時の心電図には異常が出ないことが多く、健診時の心電図は狭心症の診断にはあまり役立ちません。

治療

狭心症の治療では、根本の治療は動脈硬化を防ぐことです。そのため食生活をはじめとする生活習慣の改善が求められます。

軽症の場合、薬物治療では抗血小板薬を用いて血液をサラサラにする治療を行います。同時に、狭心症や心筋梗塞のリスクを高める高血圧、高血糖、脂質異常、肥満の改善も行われます。

狭窄が進んでいる場合は冠動脈カテーテル治療を、さらに重症化している場合は冠動脈バイパス治療を行うことがあります。

動脈硬化を防ぐためには、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの管理がもっとも重要です。狭心症と診断された場合は、LDLコレステロール値を100mg/dL以下にすることを目標に薬物治療を行います。基本となるのは、スタチンといわれる薬物療法です。心筋梗塞などにより重症の病態では、70mg/dL以下を目指すこともあります。LDLコレステロールの目標値は個人によって異なることを知っておいてください。

冠攣縮性狭心症の場合は、薬物療法が一般的です。血管を広げて血流をよくするカルシウム拮抗薬、硝酸薬(ニトロ製剤)などを用いて発作を予防します。


セルフケア

予防

動脈硬化を起こさせない、進行させないことが肝心です。

塩分や脂肪分を控えたバランスのよい食事、軽く汗をかく程度の運動、疲労やストレスの軽減、禁煙、節酒、寒冷や急激な寒暖差を避ける工夫をするなど、日常生活でできることから始めましょう。

また、狭心症は心臓に負担がかかる運動時や階段を上っている際に発症しやすいため、こうしたときに胸部に痛みを感じる場合は狭心症の可能性があります。

胸部に異常を感じたら早期発見・早期治療のために医療機関で診察を受けるようにしましょう。


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監修

神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科

福井和樹