肺水腫
はいすいしゅ

最終編集日:2023/3/29

概要

肺には、肺胞と呼ばれる袋状の器官があり、毛細血管との間で酸素と二酸化炭素の交換を行っています。何らかの原因で、毛細血管から血液の液体成分が漏出し、肺胞内にたまった状態が肺水腫です。肺水腫は原因疾患があって、それにつづいてひき起こされます。いずれにしても重篤な病態です。

原因

主として心不全が原因で起こる「心原性肺水腫」が多く、心臓以外に原因がある「非心原性肺水腫」もあります。心臓以外の原因疾患としては、肺炎、敗血症、重症外傷、熱傷、免疫抑制剤や抗がん剤などの薬剤によるもの、肝硬変、ネフローゼ症候群アナフィラキシーショックなどが挙げられます。

症状

酸素と二酸化炭素の交換が行われないために低酸素血症となって、呼吸困難、座っていないと息苦しくなる起坐呼吸、喘鳴(ぜんめい)、せき、冷や汗、浮腫、飛沫状の血性痰、チアノーゼ(唇や指先などが青紫色になる)などが起こります。

非心原性肺水腫では、起坐呼吸がみられないこともあります。

肺胞内に水がたまり、酸素と二酸化炭素の交換が正常に行われなくなる
肺胞内に水がたまり、酸素と二酸化炭素の交換が正常に行われなくなる

検査・診断

胸部X線検査、心臓超音波検査(心エコー)で心臓の肥大、心のう液(心臓を包む心膜内にある体液)貯留の有無、心臓の収縮不全の有無などを調べます。また、心電図検査で心筋梗塞や不整脈の有無をみて評価を行います。血液検査では、動脈血ガス、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、電解質などで心機能や腎機能を評価します。

治療

肺水腫の治療として、酸素投与が行われます。心原性肺水腫では、非侵襲的陽圧換気(NPPV)が有用とされています。そのほか、ネーザルハイフローを用いた経鼻高流量療法(NHFT)などがあります。数値目標として、PaO2(動脈血酸素分圧:肺の、血液を酸素化する能力の指標)を80Torr以上に維持します。呼吸困難が重症の場合やショックを起こしている場合は、気管挿管が考慮されます。


酸素投与に加えて、原因疾患に対する治療も行います。心原性肺水腫では、心不全や心筋梗塞、心房細動など、心疾患の治療を進めます。非心原性肺水腫では、原因疾患を特定して、その治療にあたります。

セルフケア

予防

心原性肺水腫の治療は、治療までの時間が重要です。高血圧や心機能が悪い人が、日中はとくに変わりがなかったのに、夜間の就寝中に突然、苦しくなるケースがよくみられます。横になっていられず、起きてゼーゼーした呼吸をしている場合は速やかに救急車を呼ぶことが患者さんの命を救うことにつながります。一度肺水腫になると、心不全の再発をしやすいともいわれています。一般的には減塩がもっとも大切です。また、薬のことや生活の注意点などについては、主治医からよく話を聞いて理解しておくことが大切です。

監修

神奈川県立循環器呼吸器病センター 循環器内科 部長

福井和樹

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