低血圧症ていけつあつしょう
最終編集日:2026/4/17
概要
低血圧症は、血圧が通常よりも低いためにさまざまな症状が現れる疾患です。一般的に、収縮期血圧(上の血圧)100mmHg未満が目安とされますが、明確な診断基準はありません。立ちくらみ、めまい、失神、全身倦怠感などの症状の有無が問題となります。原因となる疾患や異常(原因疾患)の有無により、「本態性低血圧症」「症候性低血圧症」「起立性低血圧症」に分類されます。
原因
多くの低血圧症は、原因となる病気がなく体質的なものです(本態性低血圧症)。
ほかの病気が原因で起こる「症候性低血圧症」の原因疾患には、脱水症、甲状腺機能低下症、アジソン病、糖尿病、不整脈、低ナトリウム血症、薬剤、加齢などが挙げられます。
「起立性低血圧症」は、急に立ち上がったときなどに脳に血流を十分に送れず、立ちくらみやめまいなどを起こします。多くは自律神経障害によるものです。
症状
低血圧症の症状には立ちくらみやめまいがもっとも多く、起床困難、頭痛・頭重、倦怠感・疲労感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心などの症状が現れることもあります。
タイプによって症状の現れ方には違いがあり、本態性低血圧症の場合には症状がゆっくりと現れて持続します。
一方、症候性低血圧症の場合は急に、またはゆっくりと症状が現れるなど、原因疾患の違いによってさまざまです。
起立性低血圧症は、体位の変換に伴って急に症状が現れます。
検査・診断
血圧検査により低血圧であるかどうかを確認し、問診や身体所見などから原因となる疾患が疑われる場合は、それに応じた検査が行われます。例えば甲状腺機能低下症が疑われる場合には甲状腺ホルモンの検査を行い、不整脈や心筋梗塞が疑われる場合には心電図検査などが行われます。
起立性低血圧症は、立ち上がる前と立ち上がった後の血圧を測って比較する検査などが行われます。横になっている状態から立ち上がった後に、収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上低下する場合に診断されます。
治療
原因となる疾患が特定できる場合には、その疾患の治療を行います。原因となる疾患が認められない場合は、自覚症状に応じて、食事、運動、生活リズムなどの生活指導が行われます。生活改善を行っても効果が認められない場合には、薬物療法(薬による治療)が検討されます。
生活指導の内容には、「規則正しい生活をし、疲れやストレスをため込まないこと」「適度な運動を行うこと」「水分を十分に摂取し、極端な減塩を避けること」「バランスのよい食事をとること」などがあり、生活改善による血圧の変化を観察します。
起立性低血圧症の場合は、立ちくらみによる転倒などを予防するために、睡眠時は頭部をやや高くし、起き上がるときには足首の運動を行って血流を促してから、ゆっくりと慎重に動くこと、部屋と屋外との寒暖差をつくらないようにすることなどが指導されます。
セルフケア
予防
疲れやすさ、だるさ、めまい、立ちくらみ、頭痛、耳鳴り、動悸などの症状が認められる場合は、自宅などで血圧を測り低血圧かどうかを調べてみる必要があります。低血圧症が疑われる場合は医師の診察を受け、自分がどのタイプの低血圧症であるかを確認しましょう。そのうえで、低血圧症の分類に応じた治療と生活改善に取り組むことが重要です。
監修
神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科
福井和樹