アジソン病あじそんびょう
最終編集日:2022/4/6
概要
アジソン病は左右に1つずつある副腎皮質が壊され、そのため副腎皮質ホルモンの分泌が低下する病気です。
副腎結核や自己免疫疾患が原因となり、副腎皮質の機能が低下することが多いです。
副腎皮質で産生されるホルモンには、コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンがあり、これらが慢性的に不足することで全身症状が現れます。
原因
原因不明の特発性、結核などの感染症が原因で起こるもの、腫瘍、アミロイドーシスなど、ほかの病気が原因となるものなど多岐にわたります。アジソン病は、1855年に英国の内科医トーマス・アジソンにより初めて報告され、当初は、その多くが結核の一症状だったということがわかっています。しかし現在では、結核を原因とするアジソン病は減少し、真菌性や後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併するものが増えてきています。
症状
症状は一定ではありません。大切なホルモンであるコルチゾールやアルドステロンの低下によるだるさ、体重減少、筋力低下、食欲低下、低血圧などが起こることが多くあります。ほかにも吐き気、嘔吐などの消化器症状や、無気力、不安、うつなどの精神にかかわる症状が現れる場合もあります。
また副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が増加することで皮膚が黒くなる色素沈着が起こることもあります。色素沈着はひじやひざなどの関節部や口のなかなどに現れることが多い傾向にあります。
この病気に罹患している人が感染症やけがなどにより高ストレス状態になった場合、適切な処置ができないと、脱力感や重い腹痛が現れます。とくに重症の場合には、副腎クリーゼによって、急激に血圧が低下してショック状態になったり、腎不全が起こったりするなど、命にかかわる場合もあるため、注意が必要です。
検査・診断
血液検査では、低血糖、低ナトリウム血症、高カリウム血症、貧血、低コレステロール血症、好酸球の増加などを認めます。血液検査で副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの数値が低く、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の数値が高い場合はアジソン病が疑われます。
しかし、コルチゾールの数値が低いことだけでは、アジソン病以外の病気が隠れていることもあります。その場合は、CT検査やMRI検査といった画像検査で副腎の状態をみたり、負荷試験によってコルチゾールに増加反応があるかを確かめて診断します。
治療
アジソン病は、重篤な症状をもたらすことがあるため、診断後は速やかに治療を始めなければなりません。副腎皮質ホルモンの不足を補うため、糖質コルチコイド(グルココルチコイド)と鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)に加え、水分、塩分、糖分を補給します。発熱などでからだに強いストレスがかかると、副腎不全を起こして危険な状態になりかねません。こうしたケースでは、糖質コルチコイドの内服量を一時的に増やして対応します。副腎は機能が回復する見込みがないため、生涯にわたってホルモンの補充を継続していく必要があります。
適切な治療を継続していれば、良好な状態を保て、症状もなく生活できます。補充をやめてしまうと命にかかわることがありますので、きちんと通院することが重要です。
セルフケア
療養中
アジソン病は、適切な治療によって予後は比較的良好に生活ができる病気です。しかし、感染症などの強いストレスにさらされたことがきっかけで、アジソン病の症状が急変することがあります。ストレス時には副腎皮質ホルモンの増量が必要です。
監修
医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長
富田益臣
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