自分に合った治療法でつらい花粉症を改善

最終編集日:2025/1/27

つらい花粉症は、仕事や勉強に影響したり、睡眠の質を低下させたりなど、日常生活に支障をきたすこともあります。ただ、花粉症などのアレルギー性鼻炎は、適切な治療を行えば症状を改善することができます。治療の基本となる薬物療法で使われる薬にはさまざまなタイプがあるので、耳鼻咽喉科医や薬剤師と相談し、薬の特徴を理解したうえで自分に合った治療法を選ぶことが大切です。なお、薬物療法を行っても症状が改善しない重症の花粉症の場合は、手術による治療が検討されることもあります。


●服用薬・点鼻薬

花粉症治療の最初に行われる薬物療法の基本となるのは、「抗ヒスタミン薬」「抗ロイコトリエン薬」「ステロイド点鼻薬」の3つの薬です。処方薬と同じ成分の市販薬も多数出ていますが、使用する場合は医師や薬剤師と相談をして症状に合った薬を選ぶようにしましょう。


・抗ヒスタミン薬

体内でアレルギー症状を引き起こすヒスタミンという化学伝達物質の働きを抑えることで、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどのアレルギー症状を改善する薬です。最初に開発された第1世代の薬は眠気が起こりやすいものでしたが、その後に開発された第2世代の薬は眠気が起こりにくくなっています。


・抗ロイコトリエン薬

粘膜を腫れさせて鼻づまりなどを引き起こすロイコトリエンという化学物質の働きを抑えることで症状を改善させる薬です。特に鼻づまりの症状が強い人に適しています。


・ステロイド点鼻薬

花粉症による鼻づまりだけでなく、鼻水、くしゃみなどにも効果的な点鼻薬。最近のものはステロイドが体内に吸収されやすく、安全性が高くなっています。用法・用量を守り、継続して使用することで有効性が上がります。


●アレルゲン免疫療法

通常吸入するものより高い濃度の花粉症の原因物質を体内に入れて、アレルギー反応が起こりにくい体質にする治療法で、舌下免疫療法と皮下免疫療法の2種類があります。

舌下免疫療法は、アレルギーを起こす原因物質(スギ花粉のエキス)が入った錠剤を舌の下に入れて溶かし、粘膜から吸収させるものです。1日1錠、3~5年継続した治療が必要です。治療対象となるのは、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎がある5歳以上の人です。

皮下免疫療法は、アレルギーを起こす原因物質を皮下注射で体内に入れます。

どちらも花粉症の症状を軽減させる効果があり、根治も期待できます。


●抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)

重症のスギ花粉症で、抗ヒスタミン薬などを服用しても症状が改善しない、12歳以上の人が対象の注射薬です。もとは気管支喘息じんましん治療に使用されていた薬ですが、スギ花粉症にも有効であることがわかり、2019年より保険適用になりました。2週間または4週間おきに注射をする治療で、つらいスギ花粉症の症状が緩和されます。ただし、アレルゲン免疫療法のように体質を変える治療法ではないので、効果は注射をしたワンシーズンのみです。


監修

東邦大学医療センター大橋病院 耳鼻咽喉科 教授

吉川 衛

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