蕁麻疹(じんましん)じんましん
最終編集日:2022/5/11
概要
蕁麻疹は皮膚の一部が突然はっきりと赤く隆起(膨疹:ぼうしん)して、数十分から数時間、長くても1日ほどと比較的短時間であとを残さず消えるのが特徴です。強いかゆみが出ることが多いです。食べ物、薬、植物のアレルギーなどの原因がわかる蕁麻疹もあれば、原因を特定できず、長期間、慢性的に症状がつづくものもあります。
治療では、蕁麻疹の原因となるものや蕁麻疹を誘発することを避け、かゆみや膨疹などの症状を抑えるために抗ヒスタミン薬の飲み薬などが使われます。
原因
食べ物、薬、植物のアレルギーや気温の変化、運動、日光、発汗、皮膚への刺激、感染症、温熱、寒冷、ストレスといった原因がわかるものと、直接的な原因がわからない特発性蕁麻疹があります。特発性蕁麻疹が蕁麻疹全体の約70%を占めるといわれています。
症状
蕁麻疹が現れる部位はさまざまで、全身のどの部位にも起こります。蚊に刺されたような、赤みをもったふくらみが現れ、大きさもさまざまです。地図のように広がることもあり、強いかゆみを伴います。
症状が出てから、1カ月半以内で治まるものを「急性蕁麻疹」、1カ月半以上、皮疹が出たり消えたりをくり返すものを「慢性蕁麻疹」と呼びます。
検査・診断
問診と視診で診断できることが多いですが、血液検査、皮膚検査、誘発試験を必要に応じて行います。これらの方法によって、悪化因子や誘発因子を探します。
●アレルギー性の場合
原因と思われる食品やその食品のエキスなどを用いた皮膚検査、あるいは血液検査により原因を確定します。
●非アレルギー性の場合
病歴や皮膚以外の症状から疑われる病気に対して必要な検査を行いますが、原因の確定はむずかしいです。
治療
蕁麻疹は、原因が特定できればその原因を遠ざけることが、いちばんの治療法です。原因がわかる場合もわからない場合も、かゆみや膨疹などの症状を抑える対症療法として、飲み薬の抗ヒスタミン薬を用います。効果が不十分な場合はほかの飲み薬や注射薬を使うこともあります。
セルフケア
療養中
比較的症状が軽い場合は、患部を冷やす、市販されているかゆみ止めの飲み薬などで対処することができます。しかし、寒冷蕁麻疹(寒冷刺激で発症する蕁麻疹)は冷やさないようにしましょう。
蕁麻疹の症状のほかに、呼吸器症状(呼吸困難、ゼーゼーする喘鳴など)、消化器症状(嘔吐、腹痛、下痢など)あるいは循環器症状(血圧の低下、意識障害)などの症状が現れた場合は、アナフィラキシーショック(重篤なショック症状)が疑われます。命にかかわる緊急事態ですから、救急車を呼んで急いで病院を受診しましょう。
予防
特定の食品で蕁麻疹が出るとわかっている場合は、その食品を避けるようにします。摩擦や圧迫など、皮膚への刺激で発症する場合も、それを避けるようにします。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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