花粉症の薬にはどんなものがある?

花粉症の薬にはどんなものがありますか?
この質問への回答
はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック 院長 生井明浩
花粉症でまず使われる薬は、「抗ヒスタミン薬」です。免疫細胞(肥満細胞)から放出されるヒスタミンという化学伝達物質の働きを抑える薬で、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状を軽減させます。飲み薬のほか、点鼻薬や点眼薬があります。
「抗ロイコトリエン薬」も使われます。これは炎症を起こすロイコトリエンという物質の働きを抑える薬で、主に鼻づまりを軽減するほか、花粉による「せき症状」に効果があります。気管支喘息の症状軽減にも使われている薬です。
症状が重い場合は、「ステロイド薬」が使われます。ステロイド薬には強力な抗炎症作用があり、鼻づまりや眼の炎症を抑える効果があります。ステロイドの飲み薬が使用されることもありますが、主に点鼻薬と点眼薬が用いられます。
鼻づまりが特にひどい場合は、「鼻粘膜収縮薬」が使われます。これは血管を収縮させることで鼻づまりを軽減させる点鼻薬です。ただし、1週間以上の長期使用は避け、一時的に使う薬です。
また、花粉症に効果的な漢方薬もあります。例えば、くしゃみや鼻水に効果がある「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などです。
飲み薬の複数組み合わせ、さらに飲み薬、点鼻薬と点眼薬との組み合わせにより、よりアレルギー症状を抑えることができます。
最近、重症の花粉症には、一般名オマリズマブという「抗IgE抗体薬」の皮下注射が使用されることがあります。鼻症状だけでなく、眼症状、皮膚症状、喘息症状(※)などに対しても効果が期待できます。しかし、適応にはいくつかの制限があります。既存の治療で効果が十分みられない重症または最重症のスギ花粉症であること、12歳以上であることなどです。また、薬価が高く(保険適用で3割負担の場合でも1回の注射で8,500~30,000円)、花粉シーズンに3~6回注射が必要です。さらに、施行できる医療機関が限られているなど、ハードルが高いと考えられます。
このように花粉症の症状に対してはさまざまな薬があります。花粉症は重症化すると、鼻づまりがひどくて夜も眠れない、鼻ばかりかんでいて仕事にならないなど、日常生活に支障をきたすことがありますので、重症化させないためにも耳鼻咽喉科やアレルギー科、眼科などで症状に合った薬を処方してもらいましょう。市販薬で症状が抑えられる場合もありますが、もし症状が改善しない、悪化したというような場合は医療機関を受診しましょう。
なお、抗ヒスタミン薬の飲み薬は、症状が現れてから服用しても効果が得られますが、もっとも効果的な飲み方は、症状が現れる1~2週間ほど前からの服用(初期療法という)です。発症を遅らせ、発症しても重症化しづらくなります。その年の地域の花粉情報を調べ、花粉が本格的に飛散する1~2週間前を目安に飲み始めるとよいでしょう。
※花粉症と喘息症状については、花粉は大きい(分子構造上)ので気管や気管支までは入らず、喘息症状は起こらないとされていました。しかし、花粉がアスファルト上で車につぶされたり、その他の原因で粉々になり、小さくなった粒子が気管や気管支に入って喘息症状を起こすことが最近になってわかってきました。
■2025年2月23日時点の内容です。


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