顔のゆがみ、顔の麻痺

最終編集日:2024/1/19

概要

顔のゆがみは、顔面の筋肉を動かす顔面神経の障害により起こります。顔面神経の本体は大脳にあり、脳から出て顔面神経となり側頭骨の中にある細いトンネル(顔面神経管)の中を通って顔面にある筋肉(表情筋)に分布しています。この神経のどこかが障害されると、表情筋が動かなくなり顔面麻痺が生じます。その結果、顔半分に麻痺が生じ、唇の片側が動きにくくなります。口が閉じなくなるため、会話がしにくくなり(パ行が言えなくなる)、食事では口が閉じないのでもれてしまい、今までのようにできなくなります。


朝起きたら顔が動かない、気がついたら顔が曲がっていた、というように何の前ぶれもなく、突然顔がゆがんで発症します。そのなかでもっとも多い(約70%)のがベル麻痺です。原因は明らかになっていませんが、以前に感染した単純ヘルペスウイルスが、疲労や免疫力低下、ストレスなどをきっかけに再燃することによると考えられています。顔面麻痺に、味覚障害や音が響くなどの症状を伴うことがあります。


また、ウイルスが原因で麻痺が起こるハント症候群(ラムゼイ・ハント症候群)もあります。顔面神経の一部にウイルス(水痘・帯状疱疹ヘルペス)が潜伏していて、体力低下時に再燃して発症し、耳の周辺の発赤や水疱、痛みなどを伴います。

一方、脳に障害が生じて発症する場合があります。

脳卒中(脳出血や脳梗塞)が起きたときに、病巣と反対側に突然、顔面麻痺が生じることがあります。多くの場合、ろれつが回らない、頭痛、意識障害、手足の麻痺(片麻痺)の症状を併発します。この場合は一刻も早く医療機関で治療を受けることが必要です。

脳腫瘍により顔面神経が障害されて顔面麻痺が生じる場合もありますが、この場合はゆっくりと麻痺が進行し、ほかの症状も併発することが普通です。

受診の目安

救急車を呼ぶ・ただちに医療機関を受診

・手足の麻痺、ろれつ障害、頭痛や意識障害などがある

医療機関を受診

・朝起きたら顔が動かない

・気がついたら顔の半分がゆがんでいる

・耳の周囲の発疹や痛みを伴っている

・ゆがみのせいで食事がうまくできない

・目の痛みがある(眼科を受診)

様子をみる

・少しのゆがみがあるが、回復してきている

セルフケア

顔のゆがみや麻痺を起こす顔面神経麻痺は、顔片面がゆがむため、会話や食事だけでなく、審美面でも大きな影響を与えます。できるだけ早く医療機関で治療を始めることが大切です。

麻痺のため目が閉じにくくなり、角膜が乾燥しやすくなるので眼科も受診し、目を守るようにしましょう。

考えられる病気

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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