花粉症
かふんしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

スギやヒノキをはじめとした花粉が原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが生じるアレルギー症状のことです。

季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれ、かぜ症候群と似たような症状が現れます。日本では50種類以上の植物が花粉症をひきおこすといわれています。

原因

外部から体内に入った花粉に対し、からだのなかで「異物を排除しよう」という免疫システムが働くことにより、くしゃみや鼻水、涙などが出ます。ただし、花粉が体内に入ってもすぐに花粉症を発症するわけではありません。まず体内に花粉が入ると、アレルギー素因をもつ人は、その花粉に対抗するための抗体がつくられます。この抗体は「IgE抗体」と呼ばれ、花粉に接触するたびに少しずつ体内に蓄積されています。このIgE抗体が一定量に達すると、急にアレルギー反応を起こすようになるのです。

IgE抗体のつくられる量や期間は個人差が大きく、10歳以下で発症する場合もあれば、高齢になってから発症するケースもあります。また、もともとアレルギー素因をもっていなければ花粉症にはなりません。

症状

花粉が体内に入ると、くしゃみ、さらっとした透明の鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、目の充血、涙目、皮膚のかゆみなどの症状が現れます。発症するのは、アレルゲンとなる花粉が飛散する時期だけですが、こうした症状により、集中力の低下、倦怠感、頭痛、イライラなどがひきおこされることもあります。

アレルゲンとなる花粉はスギ(2~5月)、ヒノキ(3~6月)、シラカンバ(4~6月)、ブタクサ(8~10月)などさまざまです。

日本では、花粉症全体の発症率が約30%、そしてスギ花粉症の発症率が約27%といわれています。圧倒的にスギ花粉症が多いのは、国内の森林の18%、国土の12%をスギが占めているからと考えられています。

検査・診断

アレルギーの種類や原因となる植物を探るために、花粉のエキスで刺激して、その反応をみる「皮膚反応検査」、血中の総IgEの量や、花粉に反応するIgEを調べる「血中IgE検査」、花粉エキスを含んだ紙を鼻の粘膜につけ、反応を調べる「鼻粘膜誘発テスト」などで、アレルギーを診断します。

治療

花粉症の治療方法には、つらい症状を抑える、薬による対症療法と、根本的に治すための根治療法がありますが、大抵の場合は薬による対症療法が行われます。

薬による治療では、抗アレルギー薬である内服薬、点鼻薬、点眼薬などを用いて、症状を抑制します。

根治療法としては、「アレルゲン免疫療法」が行われます。これは、アレルゲンの抗原エキスを少しずつ体内に取り入れ、しだいに量を増やしていくことで局所の免疫過剰反応を抑える治療法です。

このほか、鼻づまりの症状が強い患者さんには、レーザーで鼻の粘膜を焼き、アレルギー反応を抑える「レーザー手術」を行うこともあります。

セルフケア

療養中

花粉が体内に入ることを防ぐことが基本です。原因となる植物の花粉が多く飛んでいる時期には、外出時にマスク、眼鏡、帽子の着用を心がけましょう。また、帰宅後は玄関で花粉を払い、洗顔、うがいをしっかりと行い目や鼻を洗浄することも重要です。

洗濯物や布団は外で干さないように気をつけましょう。外出時には、花粉が付着しにくい、表面がツルツルした素材の服を着るのも効果的です。

例年、症状が強く出る人は、花粉情報をしっかりチェックして、早めに抗アレルギー薬の使用を開始すると、症状が出にくくなります。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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