腎性糖尿
じんせいとうにょう

最終編集日:2023/10/30

概要

何らかの原因で腎機能に異常が起こり、尿にブドウ糖(グルコース)が排出されている状態を指します。糖尿病と異なり、血液中のブドウ糖の値(血糖値)に異常はみられません。多くは遺伝性で、治療の必要のないものがほとんどです。

子どもの尿検査で見つかることも多く、尿検査で尿糖陽性を指摘されるもののうち、30~60%を占めるとされています。

原因

グルコースは腎臓の尿細管という部分で、そのほとんどが再吸収されて尿には排出されません。しかし、再吸収する力が弱い場合、十分な量が再吸収できず、グルコースが尿に漏れ出てしまいます。再吸収力の低下には遺伝的な要因がかかわっており、その理由は明らかになっていません。

ちなみに、糖尿病の場合も同じように尿糖陽性を現しますが、血中グルコース濃度が高いために再吸収がされきれず、尿中に漏れ出てしまいます。

症状

通常は無症状で、健康診断で指摘されて見つかります。

尿細管の機能障害が広範囲に及ぶ「ファンコニ症候群」では、グルコースだけでなく、アミノ酸、重炭酸無機リンなども再吸収されなくなり、脱水症状のほか、発育遅延、くる病(骨軟化症)、白内障・緑内障などの眼病変が現れます。

検査・診断

尿検査で尿糖陽性(尿糖100mL/dL以上)を指摘されたら、空腹時血糖、HbA1c、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)などの検査で、糖尿病かどうかを確認します。また、24時間蓄尿検査(1日の尿をためて検査する)で、尿の成分を精査し、ほかの糖(ガラクトース、果糖など)が検出されないか確認します。

ファンコニ症候群などのほかの病気との鑑別が必要です。

治療

腎性糖尿は、治療の必要はありません。

セルフケア

予防

腎性糖尿は遺伝性であることが多いため、予防法はありません。ただ、健康診断の尿検査で尿糖を認めた場合には、必ず血液検査で糖尿病の有無を確認し、尿細管の病気が疑われる場合には、腎臓内科などの専門科で精密検査を受けるようにしましょう。

監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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